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月曜日, 3月 31, 2025

ブロック造の目地に宿る細部の力

補強コンクリートブロック造(以下CB造)に限定しての話ですが、CB造の強度は目地で決まると言います。つまり接合面に使用するモルタルの強度が重要なのです。構造強度上の考察は後日に譲るとして、ここでは施工およびデザインとして考えてみたい。まず全体的な積み方についてですが、縦横を通すイモ積みと横のみを通すウマ積みがあります。また仕上についてはブロックそのままを見せる化粧積があります。この化粧積の場合、不揃いなモルタル目地をコテで整えます。目地用コテは丸鋼を用いた丸コテと平コテがあります。そして縦方向と横方向、どちらを最後に引くかで見え方が異なる。つまりデザインの印象を変える力を、細部の目地が持っているのです。写真は、イモ積みの丸目地コテを縦優先、つまり縦目地を最後に引いた例です。

金曜日, 3月 28, 2025

ハビタ札幌機関紙「はびたvol.4」

ハビタ札幌機関紙「はびたvol.4」は1978年12月13日に発行された。この年、ハビタ札幌は小樽運河保存問題に深く関わることになった。小樽在住の若者仲間たちと、小樽運河に人を呼びその魅力を実証する祭り「ポートフェスティバル78」や、小樽運河の意義を対話するシンポジウム「第一回石造倉庫セミナー」を企画した。その記録・考察を特集している。こうした活動が小樽市民を主体とする保存運動の潮目を劇的に変えた。北海道の環境づくりに直接かかわることができた建築家集団「ハビタ札幌」は、この機関紙発行を最後に1979年解散する。

水曜日, 3月 26, 2025

ハビタ札幌機関紙「はびたvol.2」

印度にサルナートという仏教遺跡がある。現在はレンガ造の建物基礎が点々と散在している広大な遺跡公園になっているようだがその中にレンガでつくられた巨大なダメ―クストゥーパという仏塔がある。私はちょうど50年前、訪れたことがあるのだが、レンガと聞くと、その圧倒的な存在感を今も鮮烈に想いだす。 ハビタ札幌機関紙「はびたvol.2~1977年12月14日発行」は「レンガ考」でWACが責任編集した。レンガを仕上に用いた「札幌の家・自邸~1968」の設計者・上遠野徹さんのインタビューなど精力的な取材が満載である。WAC(Women Architect Club)は、北大・越野武先生の門下生が中心メンバーだった。

火曜日, 3月 25, 2025

継承されたコンクリートブロック住宅

本日発売のリプラン誌148号、20年前に設計した住宅が掲載されています。数年前、若い所有者に替わり改修させていただいた。その機会に住宅の何が気にいったのかと尋ねたところ、コンクリートブロックの古びた良さだと教えてくれた。その経年変化が価値なのだという。なるほど今となってはスルーしたいデザインもあり、嬉しさ怖さ半々ですが。ともあれ私のベンチマークであるコンクリートブロック住宅がひとつ、地域に残り次の世代に引き継がれたのを感謝しています。

月曜日, 3月 24, 2025

ハビタ札幌機関紙「はびたvol.1」

49年前のこと、1976年、北海道札幌を拠点に活動した建築家集団、正式名称は北海道の環境を研究する会が組織された。 会の主な活動は様々な分野の専門家を招き講演会・勉強会等であり、札幌市中央区の竹山実建築綜合研究所札幌分室(アトリエインディゴ)を会場に月一回程度開催した。 (注:ジャパンインテリア「アトリエインディゴ特集」P29に紹介記事が掲載されている) 建築家・竹山実は、建築が広く文化をベースに立脚するべきだ、と考え自らのアトリエ(アトリエインディゴ)を解放し文化活動の場となることを望み、旧知のアーバンデザイナー・梶田清尚に勉強会の場を提供したのだった。 そうした竹山実の意向を受け、ハビタ札幌は建築だけではなくアートから文学、技術、社会問題など幅広い自由な発表や交流を実施した。 代表者は梶田清尚(かじたきよたか)、コアメンバーとして泉徹、狩谷茂夫、駒木定正、藤井清美、山之内裕一など。 会発足の翌年1977年には機関紙「はびた」を発刊した。会の活動は1979年まで続いた。

日曜日, 3月 23, 2025

3月といえどまだ雪の中

先日、札幌市内南区某所の打ち合わせの帰り道に旧作の前を通った。2000年に竣工した住宅で、今年25年目になる。竣工時の外観がそのままで、定期的に良い維持管理をしている建主に感謝している。

水曜日, 3月 12, 2025

ハビタ札幌機関紙「はびたvol.3」

かつて「ハビタ札幌」という建築家集団があった。1976年から1979年までの期間に若い建築家の卵たちが勉強会を企画していた。当時20代半ばだった私もその一員として参加している。勉強会や講演会等の熱気を伝え記録として残せないだろうかとの思いで機関紙を数人のコアメンバーで作った。第3号が「現代美術を考える」だった。北海道にゆかりのある現代美術の表現者たち9名ほどが開催した展覧会「’77北海道現代作家展」(札幌時計台ギャラリー)のシンポジュウムを紙上再現している。石垣光雄、大滝憲二、国松明日香、佐々木謙二(方斎)、佐々木徹、中山信一、花田和治、宮前辰雄、山内孝夫(敬称略)の各氏が展覧会についてコメントしている。

日曜日, 3月 09, 2025

住まい再訪・美しが丘の家

週刊ブロック通信2月号への寄稿です。建築専門誌リプランの取材に同行しました。

日曜日, 1月 26, 2025

ねじのある建築現場

とある住宅現場で外壁まわりに使用されている「ねじ」を並べてみた。ざっと7種類あった。 外壁は厚さ15mmのカラマツ羽目板を大和張りしている。大和張りは縦張りだから横胴縁が下地。 またXPS板厚100mmの断熱材を外貼りしている。そのため一番長い「ねじ」は180mmだ。 建築史の村松貞次郎博士によると、江戸時代はねじの無い文化、だったという。 金物を使用しない伝統工法の木造建築は別として、現代の建築現場に「ねじ」は欠かせない。 建築大辞典(彰国社)によれば「ねじ」は総称で、そのうち小型のものをビス(VISE,VIS)という。 たかがねじ(ビス)なのだが、奥が深い。さあ、明日からまたねじを巻いていこう。

月曜日, 1月 13, 2025

建築への捧げもの

ビタレスクの鈴木さんが提供してくれる月曜から始まるカレンダーがある。13日の月曜日は今年の3週目。今年は52週なのですでに4%ほどが過ぎ残り50週がスタートした。

週刊ブロック通信の令和7年1月1日「ブロック造住宅の系譜」今年の初めての投稿は、建築への捧げもの。私たちの設計行為はすべて建築に捧げられているのだ、ということを今年も発信していきたいと思う。


 

日曜日, 12月 08, 2024

住まい再訪(週刊ブロック通信11月寄稿)

週刊ブロック通信に掲載された「蘭東の家・再訪」です。かれこれ23年前に竣工したコンクリートブロック造2階建ての住宅。久しぶりに訪ねる機会があった。器としての建築は長い時間を経てもあまり変わった様子はなく竣工当時の感動を再び与えてくれた。それは時間に耐えることのできるコンクリートブロック素材と優秀な北欧製木製サッシュの力によるところが大きい。

週刊ブロック通信紙面

金曜日, 12月 06, 2024

食卓テーブルのデザイン

 家具工房の北風ワークスさんとのコラボ企画第二弾です。ダイニングのスペースに合わせ、特注サイズの食卓テーブルをデザイン・製作しました。材料は北海道産シラカバ積層材(エコシラ合板)です。白味の繊細な表面に仕上がっています。



[山之内+北風works]焼印!


水曜日, 10月 30, 2024

住み継ぐこと

 週刊ブロック通信10月21日号に「住み継ぎ」をテーマにした住宅改修事例を紹介しています。

「美しが丘の家・改修」として11月23日(土)開催の建築作品フォーラムで発表する予定。

耐用年数が長く丈夫で(頑丈なため解体しずらいとも言えますが)、そのため長い命を与えられている建築が、新しい施主をむかえてさらに輝きを増した。長生きをしていると幸せなことが訪れるというのは、人生も建築も同じなのかもしれません。そういう建築の話です。

月曜日, 10月 21, 2024

モックアップ作成 (make a mock-up)

 設計から現場に至る過程では、時間の許す範囲で様々な検討を行うのですが、実物大試作品によるモックアップ検証が一番最終形に近いと考えています。

今回は臥梁下に間接照明を組み込む設計のため、私の事務所エントランスのCB壁を利用して間接照明のモックアップを作りました。あらかじめお借りしていたメーカーのデモ機を装着して照明のチェックをしています。





月曜日, 10月 07, 2024

厚別東の家

 札幌市内で新築住宅の工事が始まっています。北海道の素材をフルに使用した小住宅です。1階は補強コンクリートブロック造で、2階は木造の混構造です。これから徐々に建築情報を発信していきます。



火曜日, 9月 03, 2024

1+7=8

 前回のブログで書いたのだが、70年代「遊」の特集で松岡正剛は「似ているものは本質を共有する」という相似律を視覚的に編集した。先ごろ40/40で話題の大谷翔平選手がいつも全力で走る姿が誰かに似ているなと思っていたら、半世紀前のテレビ漫画のヒーロー・エイトマンの全力疾走シーンがそっくりではないか!そういえば大谷翔平選手の背番号は17、1+7で8になることに気が付いた私。

土曜日, 8月 24, 2024

松岡正剛さんの記憶


 雑誌「遊」相似律と題されたゲシュタルト心理学副読本のような画像集。その中に書かれていた「似ているものは本質を共有する」という断定的な言葉に打たれてしまった。1978年の出版だから、今から46年前、私はまだ20代。ちょうどそのころ、旧札幌市民会館で開催されたワークショップに参加した。どのような集まりだったか忘れたが、休憩時間のトイレで田中泯さんとばったり顔を合わせたこと、参加者の中心にいて白いインドの行者のような姿で横になっている松岡正剛さんを記憶している。

木曜日, 7月 18, 2024

建築とは?

建築とは?ふとそのような原初的な問いが浮かぶことがある。

盟友・泉徹の著書「品質トラブル解決集」。北海道の建築家仲間で地道に建築を追求してきた人物で私のCADの師匠でもあった。序文で「技術とは問題を解決する方法論」と書いている。




水曜日, 7月 10, 2024

ブロック造の店舗

 ブロックの楚々とした佇まいは、店舗にこそ向いているのかもしれない。公共空間のように誰でも出入りができること、拒絶感を感じないこと、日常的に利用する理髪店のような店舗にはそのような性格が求められているのではないだろうか。加えてオシャレな空間であれば、来店のお客様はスッキリした頭とともにきっと満足するだろう。25年前に設計した札幌市内の理髪店に通うたびに新鮮さを感じている。写真は、駐車場のサインと店舗入り口まわり。



月曜日, 7月 01, 2024

厚別東の家のスタート




 「厚別東の家」がスタートしました。補強コンクリートブロック造一部木造の混構造です。