本日の週刊ブロック通信2026年9月28日号に、1996年竣工「藻岩下の家」30年後の姿を載せています。「当時と今」の比較から見えてくるものは何でしょうか?それを解き明かしたいと思います。
30年住宅を俯瞰する
先日、「藻岩下の家」完成30年目の写真を撮影しました。敷地全体をとだけ伝えていたところ当日はドローンカメラでの撮影。写真家が意図した地上10メートルのアングルは新鮮で、私は初めて目にした光景を前に、自然と建築に流れている時と空間の意味を考えています。
「藻岩下の家」は30年前の1996年8月完成した住宅です。スキー場の麓に位置するため冬は2メートルの積雪がある。遅い春に斜面を流れ下りる雪解け水を抵抗なく受け流すことが、ここでの住宅に求められました。もちろん建築物の構造的安定性は言うまでもない。寒冷地では外壁面積を少なく計画し断熱効果を上げることも重要。住宅の円形プランはこうした条件から合理的に導き出されました。そして住宅に続き正方形プランの車庫、楕円形屋根の作業小屋が適度に距離をとる、アルゴリズム的分棟配置が成立したのです。
最近、建築家の役割とは何かと考えています。建築家も多様で、私はといえば限られた地域で住宅を主な設計対象としている立場です。こうした立ち位置を選択した理由は、クライアントとの距離感を身近に等身大で感じ取りたいという願望でした。30数年を振り返ると、プロジェクトごとに与えられる諸条件を合理的に組立て、ときに自由で自律的な提案をする作業は苦しいながらも充実した時間を過ごしてきたと思います。その内容は、敷地選定・住宅計画・資金計画・実施設計・工事監理・竣工後の維持管理と実に広範囲です。こうした「住宅の一生」に、専門家としてこれからも関わり続けたい。(山之内裕一/山之内建築研究所)












