Powered By Blogger

水曜日, 8月 15, 2007

塔の部屋


「小樽公園通り教会」のシンボルタワーの真下に、塔の部屋がある。7帖ほどの広さで、壁に上げ下げ窓と丸窓がある明るい部屋だ。通りを見下ろす窓に、小さな木製の簡素な椅子がならべられている。聞けば、子供たちの控え室として使用しているという。窓辺から差し込む自然光の下で、絵本を読んだりするのだろう。通りを行きかう人や車の様子もよくわかる。窓の位置や椅子の配置、それらの単純な組み合わせの中に、子供の居場所と読書空間の原点を見る。

定礎


14日、お盆休みの合間を縫って、小樽市の「小樽公園通り教会」へ向う。小樽の建築歴史専門家K氏の調査に協力する目的であった。建物は、花園4丁目にあり、市の歴史的建造物に指定されている2階建ての木造建築。写真は、80年以上前の定礎石。石は、小樽の古い建物に共通する軟石である。定礎は、基礎工事が終了する時に建物の安泰を祈願して行なわれた定礎式の年月日を記録している。

火曜日, 8月 14, 2007

石の風景


お盆に墓石を眺めたので、ニューヨークの摩天楼を思い出した。というのも、かの摩天楼を林立する墓石の風景のようだと評した一文が妙に頭に残っているからだ。出典は定かではないが、問題ではない。写真は、ミース・ファン・デル・ローエのシーグラムビル。敷地の両端にちょうどベンチの高さの濃い緑色の大理石の低い塀がある。目透かし処理ですこし地面から浮き上がっていて、どこまでもディテールにこだわる設計姿勢に感銘を受けた。ミースの作品によく使用されるティノス大理石(TINOS VERDE)と呼ばれるギリシャ産の石。実は、この石が建物の印象を決定付けているように私には思われる。それほど強い印象を与える石の風景である。

木曜日, 8月 09, 2007


今週末からほぼ1週間、建築の現場がつかの間の休息のお盆休みに入る。「西宮の沢の家」では、外壁のガルバリウム角波鋼板が施工中である。写真は、木製サッシとの取り合い部。下から上へ重ね、雨じまいよく施工する板金加工の納まりは、ほぼ確立されている。迷いなく切り取られた鋼板に、職人さんの技を見た。サッシの陰に隠れ、ガラスに撮影者が映りこまないように撮るのは、昔、写真家の安達治氏から教わった私の技である。

B


できるだけ、地元産の素材を使用したいと思っている。北海道産無垢フローリングなどで、長さや色が不揃いで少し節目があるなどの理由で、いわゆるB等級になったものがある。肌触りなどの触感、強度や含水率などの物理性能は通常品同等なのだが、なぜか廉価で市場に出回っている。これらは、間違いなくホンモノで、何の遜色もない。私たちの、ちょっとした価値観の修正でうまく使用すれば、厳しい予算を乗り越える切り札になる。同時に資源の有効利用になるだろう。また、価値とは何かを考えることでもある。
バリーボンズ(B.B)が756本のMLBホームラン記録を達成した。きょう一番のBだ。写真は、日米野球でホームランを打ってベースをまわっているボンズ。数年前、札幌ドームで撮った。画像はまさにBクラスだが。

火曜日, 7月 31, 2007

配筋検査


きょう31日、「発寒の住宅」現場で配筋検査をおこなった。基礎部分は、スカート断熱とし凍結深度の低減をおこない、基礎根入れ深さを浅くしている。配筋はD13㎜とD10㎜の標準仕様である。基礎の高さが低く、作業しやすいのだろう。仕上がりが整然としている。
7月末に節目があった。イチローのMLB1500本安打、参議院選挙、そして作家・小田実(おだまこと)が逝った。私の本棚に彼の出世作「何でも見てやろう」がある。40年前に発行された定価380円の本。帯には、知性と勇気の旅行記とある。私も、好奇心や情熱や感受性をこの本から学んだ読者の一人だ。私たちの住まいづくりは、まさに「何でも見てやろう」の実践でもあると思う。

水曜日, 7月 25, 2007

落雪防止勾配屋根


24日、「西宮の沢の家」の現場では屋根の仕上工事が始まっている。0.35mmのガルバリウム鋼板を落雪防止屋根工法(ステイルーフ)で葺く。経験上、札幌の雪にはうまく適合するという工法で、勾配屋根でありながら雪止めの取付が不要であり、急激な落雪を防止し敷地内での屋根雪処理を可能にしてくれる。建築は、経験の上に成り立つ技術だということを改めて知らされる。

月曜日, 7月 23, 2007

庭づくり


「美しが丘の家」の庭工事が完成した。工事を担当していただいた政村庭園さんから連絡が入り、23日、現場を訪れ工事の確認をした。今回の工事は、植栽を中心にしている。道路側に背の高いニオイヒバをならべ、既存のイチイも一部残している。また、イスやテーブルを置くスペースをコンクリートブロックと同じ素材のインターロッキングブロックで敷きつめた。残りのスペースは、子供達の遊び場として芝を張り込んでいる。
建物が完成してから、今回の庭が完成するまでおよそ10ヶ月を要したが、青々とした木々や芝を眺めていると、そうした時間や苦労が報われるようだ。

火曜日, 7月 17, 2007

敷地確認


先日MLBオールスター戦で、我がイチロー選手のランニングホームラン(英語ではインサイドパークホームランというらしい)の快挙を、地元紙はヒーローのインサイドジョブという表現で報じた。仕事は外でするもの(ホームランはフェンスを越すもの)という常識を、我がヒーローはこともなげに打ち破って見せたのだ。このところ事務所内にこもって山積している業務をこなす日々が続いている私には、涙の出る話だ。


きょうは、札幌市西区発寒で着工を目前にした敷地に向かった。施主が近隣挨拶にまわった後で、敷地の確認と遣方検査をするためである。敷地に来るといろいろと判ることがある。敷地にシンボル的なイメージを与えているポプラの大木がある。施主の話では、数年前の台風で倒れそうになり危険だということで間もなく伐採される運命にあるという。せめて半分だけでも残せないかと、私は思う。カラスの住処となって困ると言う大木も、敷地の環境作りに大きく貢献していると考えるからだ。

金曜日, 7月 06, 2007

交差点


札幌市内から国道36号線沿いに車を走らせ大谷地へ向かう途中、交差点で一時停止の間に札幌ドームの展望台が目にとまった。いうまでもなく建築家・原広司氏の設計。銀色に輝く屋根は、都市の中に舞い降りた巨大なUFO のように近未来的な風景だ。いつ見ても面白い。ぼんやりとした心を刺激する非日常的なイメージを与えている。今年は、ここを拠点とするプロ野球の日本ハムとサッカーJ2のコンサドーレが元気だ。応援する人たちの数も多い。イチローが伝統の中に新しいものを組み合わせると言い、オシムが代表のサッカーはその国の文化を表現するものでなければならないと言う。たかがスポーツと言うなかれ。ここには新しい都市のイメージと人生へのメッセージがあるのだ。

日曜日, 7月 01, 2007

庭づくり


4年前に竣工した「伏見の家」へ、久しぶりに訪れた。建物回りを植物でいっぱいにしたい。手持ちの鉢植えを庭に下ろして、花を見て過したい。当時、施主は切望していた。その言葉通り、敷地の半分以上を占める自慢の庭には色とりどりの植物が咲いている。足かけ4年がかりで、ほぼ満足のいく庭になったという。玄関前に立つと風に乗ってラベンダーの爽やかな香りがした。
時間をかけて、住宅のまわりを整備してゆく。なかなか簡単にできないことなのだが、住宅自体がさらに引き立っている。住宅と生活への愛情が感じられ、設計者として嬉しい。

金曜日, 6月 29, 2007

解体


札幌市の中心部、大通り公園の北側に位置する市民会館の前を通った。すでに解体工事が始まり、大ホール客席の大屋根の鉄骨トラスが露出している。この建物には、思い出がある。40年前のこと。高校三年生を送り出す予餞会(よせんかい)がここであった。全校生徒が集い、歌や寸劇、楽器演奏に興じた。当時、私は文化委員長で総合プロデューサー役。とにかく事故なく時間通り進行させるのが仕事だったが、終わってみると終了予定時刻を2時間オーバーしていた。私は役目を全うできなかったことを恥じ、罰の悪い思いでいたのだが。学校も施設も、のんびりしていたようだ。終了後、食堂で担当の教師からひとことあっただけで済んだのだ。薄暗い舞台袖で、小言をいいながら反射板や吊物、緞帳などの操作をしてくれていたプロの職員さんの笑顔が今でも目に焼きついている。しかし、もうこの場所を通るたびに思い出すことはないだろう。建物や風景のイメージは、いつも個人的な記憶を支えているものだから。

金曜日, 6月 22, 2007

構造表現


「西宮の沢の家」では、居間のスパンを7.3メートル飛ばした。梁成330ミリ、梁幅60ミリのカラマツ集成木造梁を600ミリごとに配置したフラットな天井をつくっている。実は、ここにはちょっとした見えない工夫がしてある。スパン中央にH型鉄骨鋼を逆梁にしてカラマツ集成木造梁を吊り込み、屋根の荷重を支えるとともに、60ミリの角柱を中央に配置して鉛直荷重を負担させているのだ。ちなみに水平力は主に外壁に配した筋交いに負っている。

月曜日, 6月 18, 2007

駅舎


17日は、岩見沢へ行った。2005年の初頭に公開コンペで設計が始まったJR岩見沢駅舎の第一期工事が完成し、今週末にオープンするという。駅舎は、工事の仮囲いの外からしか見ることはできなかったが、設計者・西村浩さんのこだわりが伝わってくる建築になっているなと感じた。特に、PC天井や質感のあるレンガ、そして古レールを方立にしたサッシ等の存在感は理屈抜きに記憶に残る。あらためて、まさに建築はリアルな存在であることを想う。

日曜日, 6月 17, 2007

軽量鉄骨梁


「西宮の沢の家」で、建方が始まっている。5.5メートル幅のオープンな駐車スペースの屋根を300の鉄骨軽量梁で架け渡している。駐車スペースは屋外であるが、同じスパンをとばす居間の屋根は、断熱を考慮してカラマツ集成木材梁を60センチ間隔で使用する。

金曜日, 6月 15, 2007

見積


午前中、雨上がりの庭で真っ赤なバラが咲いていた。
赤と言えば、図面と見積書に向かうとき手にするものが赤ペンである。最初の見積は、いつもかならずと言っていいほど予算をオーバーする。標準的なサイズの住宅で、坪単価でいくと十分可能な数字なのに、である。聞くと設計事務所の物件はいろいろと高くなると言うのだが、これには多少の誤解があるようだ。そのような時、見積担当の施工者の方にも実際の建物を見てもらったりしながら、赤ペン片手に見積書と格闘している。建築家としては現場が困らないように、図面と見積書で全てが把握できるようにしておかなくてはならないのだ。

水曜日, 6月 13, 2007

雨と外構


朝食の後、ぼんやりとTVを観る。雨が小降りになってきたヤンキース球場内にCCRの「雨を見たかい」が流れていた。なつかしいメロディーに若い観客が口ずさんでいる。MLBの球場は排水インフラ機能が特に優れているのだという解説者の説明があって、ゲームが始まる。私も仕事を始める時間だ。
昨年竣工した「美しが丘の家」では、庭造りを中心に外構工事を計画中である。午後から、ひと冬経過後の外回り点検もかねて訪れた。建物周囲に、雨だれが集中するところがあって、埋戻しの表土が一部流れている。もちろん構造的には問題ないが、芝生を張って保水性を良くすることを提案している。住宅の敷地内では、MLBの球場とまではいかないが、特に傾斜地では雨水の処理に気を使わなくてはならない。

土曜日, 6月 09, 2007

街角


8日午前中、嬉しい出会いがあった。構造家のSさんから突然の電話。電話での用件が済んでから、直にお会いすることになりS宅を初めて訪問した。住所を教えていただき、車で向かう。角を曲がると、個性的なコンクリート打放し壁面が正面に見えた。S宅は建築家故・中井仁実(なかいよしみ)さんの設計で、1988年札幌市東区に竣工している。コンクリートの表現にこだわり続けた中井さんの、40代前半の仕事。しっかりと大地に根を張った、時間と共に存在感を増す種類の建築である。「中井さんが残してくれました。」Sさんの言葉が心地よかった。

火曜日, 6月 05, 2007

準備


北海道産の乾燥松材を熟練の大工さん達が手加工している、札幌市郊外の作業場を訪れた。無垢材を露出部に使用し、集成材は大壁で隠れる部分に使用する。というような材の使い分けの確認や納まりを、工務店の担当者と大工の棟梁と私とで打合せした。図面の考え方を伝え、解決法をその場で共に考える。来週には、現場で建て方作業が始まる。帰り際、また来てくれと大工の棟梁が言う。手作りの職人さん達との会話は楽しい。

金曜日, 6月 01, 2007

継続


今日、MLBでは我がイチロー選手が自己新の24試合連続安打を続けている。打席を待つ間、ベンチの中で座りながらもストレッチに余念がない。そんな姿に感動するのは私だけではないだろう。
続いていると言えば、私のブログ。ホームページの一部を簡単に更新するために始めて今日で一周年。なんと一年間で94度更新しており、4日に一度、月平均7度強だ。内訳は、現場レポートが45%で一番多く、次に活動レポートで18%。以下、日常風景や本や映画の話、旅行やエコ建築、コミュニケーションと続く。建築の周辺というテーマを扱うのは変わらないが、私自身の立ち位置を探る定点観測のようなものになるといいと考えている。
最近、ブログ見てますよ。と声をかけられることが多くなった。楽しみに見ていただいているのは嬉しい。これからも日々折に触れて発信して行こうと思います。
写真は、「西宮の沢の家」基礎コンクリート部の埋め戻し前の現場。アンカーボルトがしっかりセットされた基礎は、外断熱している。