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日曜日, 6月 01, 2025

建築の時間割(週刊ブロック通信5月コラムから)

業界紙「週刊ブロック通信」に寄稿しています。30年後の増築工事があたかも想定された時間割のように思える、いや希望的観測で当時はそう思っていたことが現実になったという、嬉しくも奇跡的な出来事を紹介しています。

土曜日, 5月 24, 2025

七飯町とCONCORD

かつて新しい町役場を設計する機会があった。現地には古い役場庁舎が建っていた。木造モルタル塗りのシンプルだが威厳のある佇まいだった。建設敷地は、スギ林のある高台に向かって古い役場庁舎の背後にある敷地だ。そこは七重官園と呼ばれた明治期に農場があった場所で、北海道農業の礎を築いた場所でもある。エドウィンダンやホイラー(写真下はCONCORDにある円山館と称されたホイラー邸)といったお雇い外国人に縁がある。話を戻そう。設計期間と施工期間を費やした2年後、新しい町役場庁舎はめでたく完成した。地域の素材と形態としてレンガや塔を備え、外断熱工法技術と合理的な平面計画が実現できた。第二回公共建築賞の栄誉と評価もいただいた。設計チームの当事者として設計監理に始めから終わりまで関わった私の喜びは、40年を過ぎた今も変わらない。ところで、古い役場庁舎は残せなかったのだろうか?今頃になって思っている。今ならきっと(声を大にして)記念館として残すべきだと言うだろう。かのCONCORDの歴史的な建築を残した魅力的な街並みを(2003年に)体験した後ではさらに強く思うのである。七飯町とCONCORD(米国マサチューセッツ州)は姉妹都市である。

金曜日, 5月 23, 2025

新しい部分が全体を豊かにする

30年前に竣工した既存住宅にEV(エレベーター)を設置するプロジェクト。既存住宅は自らが設計したもので、部分が新しく加わることで混乱を生むのではなく、さらに豊かな全体ができると考えている。

日曜日, 5月 11, 2025

土曜日, 5月 03, 2025

設計者銘板

独立したての頃、手がけた建築が竣工する興奮も手伝い銘板という直截な方法で設計者の痕跡を残した。素材は真鍮版、文字は薬品によるエッチングである。さまざまな理由で長く続けられなかったが、最近見直すことがあり復活を考えている。

木曜日, 4月 24, 2025

CB積みの開放端

CB積み目地のチカラを、施工およびデザインとして考えてみたいと、少し前に書いた。その時は触れなかったが、私は出隅をウマ積み(破れ目地)とすることが多い。いや今では必ずそうすることにしている。動きを感じる目地が、壁の囲い込みをつくり、住まいの流動性が失われることのないように端部(エッジ(edge))を開放したいと考えているからだ。偶然できた凹凸が時としてインターフォンの置き場になったりもする。

水曜日, 4月 23, 2025

フラットスラブ扁平臥梁(美しが丘の家2006)

補強CB造では臥梁の存在が強みでありまた弱みでもある。基礎と臥梁で上下に鉄筋コンクリートで緊結されたCB壁は堅牢な構造体になる。他方で臥梁の施工には材料と手間がかかり、コスト上昇の一因となっている。そこでスラブに扁平臥梁を組み込み煩雑な臥梁型枠を無くす、扁平スラブ一体臥梁であった。私たちは、もともと旧4号物件であっても補強CB造では許容力度計算を必須としていた。

月曜日, 4月 21, 2025

引込柱または受電柱のデザイン(美しが丘の家)

引込柱または受電柱は、電灯線や電話線を住宅に引き込むために敷地内に設ける。美しが丘の家では、溶融亜鉛メッキしたH鋼-200×200を利用した。H鋼フランジの陰に配管を隠している。住宅外壁に直接引き込み線による開口等を設けることがないため、外壁を傷つけることがなくまた景観上の問題を回避できる手法だ。

月曜日, 4月 07, 2025

表札デザイン(美しが丘の家)

住宅の玄関に必要なアイテムにインターホンや郵便受け、そして表札や玄関照明などがある。それらを調整するのもデザインの肝になる。写真は、「美しが丘の家(新築2005年、改修2024年)」でデザインした表札をベースにインターホン、郵便受けを一体化したものである。

日曜日, 4月 06, 2025

歴史的建造物を維持する意味

20数年前調査に訪れたマサチューセッツ・ディアフィールド歴史地区のその後をグーグルマップで覗いてみた。17~19世紀当時の街を再現した野外博物館である。旧市街のほぼ中央に向かい合っている2軒、向かって右側・白色木造ゴシック風のムーア邸と左側・黒色木板下見張りのアレン邸。2003年当時ムーア邸は修理中だったのだが6年前には綺麗に塗装されている。また2019年のアレン邸は足場が掛けられていて修理しているようだ。歴史的建造物を維持管理する意味とは、後世へ建設時の姿を素材工法の本質を変えずそのまま伝えることなのだ。この場所は、改めてそれが正論だということを教えてくれる。