土曜日, 4月 06, 2024
水曜日, 3月 27, 2024
木曜日, 3月 14, 2024
一の坂
金曜日, 3月 01, 2024
僕の好きな先生
木曜日, 2月 01, 2024
二つの100年記念塔
日曜日, 1月 28, 2024
冬のニセコ
木曜日, 1月 18, 2024
座面を張り替えた椅子
月曜日, 1月 15, 2024
パストラルタウンが語るもの
週刊ブロック通信令和6年新春号は、「パストラルタウン美しが丘」を取り上げました。1980年代半ばに4人の建築家が挑戦した建売住宅群で、竣工後40年近くを経て、さらに個性豊かな街並みに成熟している。建築家と地域工務店がチームを組みモデル住宅を設計した「南幌町きた住まいるヴィレッジ(2018年)」の先駆け事例であり成功例でもある。1980年代当時の担当者の一人、建築家・圓山彬雄さんの承諾を得て「建築学会作品発表会作品集43(2023年)」に収録されたコメントを載せています。街や建築は時間のなかで成熟しあるいは老朽化し味わい深い空気感を醸成するものだから、なるべく維持保全するのが優先的選択肢という建築界ではごく当たり前の典型的実例。先日、今は無い北海道百年記念塔設計者「井口健さんを偲ぶ会」があった。2024年(令和6年)良い年になることを祈らずにはいられない。
金曜日, 1月 05, 2024
建築を彩る多田美波の造形・展
INAXライブミュージアムで開催中の多田美波さんの建築関係の仕事にフォーカスした展覧会。「数十年前の模型を修理したり、アトリエの発掘調査のような半年でした。」と多田美波研究所・岩本八千代所長の案内状にある。私は40数年前に一度だけ多田美波さんと仕事をしたことがある。「鍵のかかる引出に入れて所員にも見せないの」と仰られた「スケッチ」も展示されているのだろうか。
水曜日, 12月 06, 2023
日曜日, 10月 29, 2023
張弦梁トラス
月一で寄稿している週刊ブロック通信の紙面がA4サイズから約二倍大のタブロイド版に更新され、見開きで一般紙片面サイズになり、紙質も一般紙同様のいわゆる新聞紙になった。
10月23日号は、次号からの助走とすべく今までの10年100回の連載を振り返り主な画像を1枚選び並べた。「CB建築の講義・六」は、張弦梁トラスを用いた音楽アトリエを併設した住宅を題材に、敷地の持つ力について述べている。4×4.5間(7.28m×8.19m)の無柱空間をリーズナブルにつくるため採用した架構で、梁、束材に松集成材を用いM27のスチール弦材で締めるのが特徴。今回の採用は、開発者(ATA)と直接やり取りでき構造架構がより身近でカジュアルなものとして感じられたことが大きい。
火曜日, 9月 05, 2023
火曜日, 7月 25, 2023
いもとやぶれの積層感
週刊ブロック通信コラムへの寄稿です。補強CB造は、縦横のコンクリートブロックを鉄筋補強する組積造ですが、表面上目地が縦方向に通る「いも」と、縦目地が途切れる「破れ」に大きく分かれる。私は、施工の分かりやすさを優先して「いも」を多用している。施工が丁寧にできるし、なにより単価も抑えられる。また「破れ」の意匠上の面白さは、出隅の組手部に意識的に用いている。今回は、コンクリートブロック造の積層感について書いています。
水曜日, 7月 19, 2023
藻岩下の家・再訪
藻岩下の家(1996年竣工)へ、しばらくぶりの訪問。設備のメンテナンスに同行した。藻岩山原生林に隣接する敷地は、27年前と変わらない。木製サッシの再塗装が必要だがクライアントの自力施工で可能である。先日、このあたりに熊が出没してニュースになった。窓から子熊を目撃したというクライアントの話を聞いた時、原生林の自然に対峙して丸く囲い込んだ人工空間で暮らしを守るという、設計コンセプトがけっして大げさではなかったことを確認したのだった。
火曜日, 7月 11, 2023
木曜日, 7月 06, 2023
100mの塔(水戸アートタワー)
6月の上旬、 水戸芸術館を訪問。目的は、会期末が迫った展覧会「磯崎新ー水戸芸術館を創る」を観るため。2階の展示ホールに、水戸芸術館のシルクスクリーン、水戸芸術館の設計資料等、短時間では十分な理解ができないほどの展示物が並んでいる。美術館、演劇ホール、等の文化施設が中庭を囲むように配され、その一端にシンボルとしての塔がある。水戸アートタワーと称されるチタンパネルの記念塔は、高さ100メートル。水戸市制百周年の記念として1990年に竣工。正四面体を28個重ねた形状は、ブランクーシの無限柱に着想を得ているという。
庭からタワーを見上げるタワー1階ホールにある建築模型
展示「震」ジョイント部の構造原寸断面図
水戸芸術館HPペーパークラフト設計図による山之内自作模型復習用(1/400)
月曜日, 7月 03, 2023
尺度、遠近感、比例、寸法体系
私たち建築家が何を考えて設計しているのかを多くの人に知ってもらいたい、との思いで書いている6月26日掲載の週刊ブロック通信「ブロック住宅の系譜」をご紹介します。
今回は「CB建築の講義・その三」で、南幌町「カスタマイズできる家」を題材に尺度や比例、遠近法などについて書いています。
CB建築の講義・三
私たちは、建築空間を五感で受け止めています。同時に建築空間に組み込まれた法則を知覚し、さまざまな効果を感じ取ります。今回は、そうした建築空間の法則について、形式と内容を考えます。
「カスタマイズできる家(本誌第二九九二号)」は、三棟連結プランの補強コンクリートブロック造平屋住宅です。母屋棟を中心に、両端にカーポート棟と小屋棟の三棟を直線状につなぐ配置です。一つの大きな屋根で覆うにではなく、人の住まいに程よい尺度(スケール)をもつ小屋根の組み合わせとしています。全体として、尺度(スケール)が分節されることで建築空間が人間の尺度(スケール)に寄り添う外観を意図しました。
室内では、高窓が特徴的です。冬場の太陽を母屋棟の中心に取り込むため、コンクリートブロック壁を南面にずらしました。そこでは遠近感(パースペクティブ)が生まれ、奥行きが強調されました。
壁体のコンクリートブロックは目地込み200mm×400mmの1:2の比例(プロポーション)を持ちます。屋根架構は、在来木造の455mmの寸法体系(モデュール)を持ちます。これらの倍数でつくられた室内全体には、整然とした印象が生まれています。
ここでは、尺度(スケール)、遠近感(パースペクティブ)、比例(プロポーション)、寸法体系(モデュール)、などの建築空間に重要な法則が存在し、住まいに心地よい効果を生んでいます。私たち建築家は、先人たちが発見・発明した多くの成果を学びながら個々の設計事例に役立てているのです。(山之内裕一/山之内建築研究所)
月曜日, 5月 22, 2023
建築家のいい話を寄稿
私たち建築家が何を考えて設計しているのかを一般の方に知ってもらいたい、との思いで書いています。CB建築講義の第二回目は、私たちが建築空間をどう受け止めているか、視覚をはじめとした五感で受け取る空間と心の関係性について考えます。私たちは、みる・きく・かぐ・さわる・あじわうという五感で知覚される多くの情報を瞬時にしかも体系的にとらえ、建築空間を受け止めています。そして建築家は、長い歴史の中で建築空間の知覚構造を理解し、同時に建築空間の法則を設計行為として、今も発明し発見し続けています。
月曜日, 5月 01, 2023
コアドライとCLT
連休前の4月27日、先月HOBEAフォーラムで木質について講演した北海道林産試験場の大橋義徳さんを訪ねた。カラマツ材コアドライ、トドマツとカラマツのCLT、最適な塗装、などなどデータを取りつつ経過観察している実験棟(北海道CLTパビリオン:遠藤アトリエ設計)などを見せていただく。コアドライは、伐採期にある北海道産カラマツ人工林材を柱材として利用するためのねじれや割れを防止する乾燥技術で、北海道林産試験場が主導して開発した。こうした地元産木材を北海道で設計する我々が日常的に使えるようになれば良いのだが。
左がコアドライによる製材。中央と右は従来の乾燥材で割れが生じる。北海道CLTパビリオン~設計は遠藤アトリエ(上:内部、下:外観~向かって右はトドマツ、左はカラマツを使い分けて経年変化を検証する、実験棟)水曜日, 4月 26, 2023
週刊ブロック通信4月24日号に寄稿しています。
週刊ブロック通信4月24日号へ、「CB建築の講義・その1」を寄稿しました。私が建築設計するときに何をどのように考えているのか、をはっきりと伝えたい。それが講義という形式になりました。私は講義は対話(ダイアローグ)だと思います。ちょっと上から目線に思われるかもしれませんが、そうではありません。一方的ではなく、様々な意見に耳を傾けていくことが考えを深めることになります。
今回、建築の原型としてのシェルターは人との関係性によって大きさなどが最適化される、ことを述べました。つまり人との関係性をどう作るかで、大きさなどの設計が決まるのですね。
CB建築の講義・その一
前回、建築は床・壁・屋根でできていて、生命と財産を守るシェルターだと学びました。改めてシェルターを辞書で引くと「群れの保護が原義で、避難所、隠れ場、小屋、住まい、バス停、防空壕」です。また類似語のシェルは「堅い外皮が本義で、貝殻、外殻、局面板」で機能と構造のイメージが浮かびます。ここで私が設計した二つの具体例、規模の小さな住宅建築と規模の大きな公共建築の例で比較考察してみましょう。「僕の部屋」は面積8.5㎡、ベッドと机が置いてある子供室です。自然光は入りますが不可視で遮音性能があるガラスブロック壁で仕切られています。常に他の家族からプライバシーが守られている極私的な場所(シェルター)です。ここでは帰宅した子供が例外なく落ち着くことができます。他方「札幌市中央図書館アトリウム」は天井高9.1mで256.2㎡の面積です。図書館を訪れる市民があふれています。隣接する公園を眺め、壁と天井のガラスからの自然光に溢れた光景に非日常の喜びを感じられる場所(シェルター)です。大きなアトリウムが私たちの心に与えるものと小さな子供室のそれ、つまり大小の異なるシェルターのそれぞれが人の心に響くものの違いに私たちは気づきつつ、生活しているのです。ではどのように響いているのか、何がそうしているのか、という考察は次回のお楽しみに。(山之内裕一・山之内建築研究所)