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水曜日, 4月 26, 2023

週刊ブロック通信4月24日号に寄稿しています。

 週刊ブロック通信4月24日号へ、「CB建築の講義・その1」を寄稿しました。私が建築設計するときに何をどのように考えているのか、をはっきりと伝えたい。それが講義という形式になりました。私は講義は対話(ダイアローグ)だと思います。ちょっと上から目線に思われるかもしれませんが、そうではありません。一方的ではなく、様々な意見に耳を傾けていくことが考えを深めることになります。

今回、建築の原型としてのシェルターは人との関係性によって大きさなどが最適化される、ことを述べました。つまり人との関係性をどう作るかで、大きさなどの設計が決まるのですね。

CB建築の講義・その一

前回、建築は床・壁・屋根でできていて、生命と財産を守るシェルターだと学びました。改めてシェルターを辞書で引くと「群れの保護が原義で、避難所、隠れ場、小屋、住まい、バス停、防空壕」です。また類似語のシェルは「堅い外皮が本義で、貝殻、外殻、局面板」で機能と構造のイメージが浮かびます。ここで私が設計した二つの具体例、規模の小さな住宅建築と規模の大きな公共建築の例で比較考察してみましょう。「僕の部屋」は面積8.5㎡、ベッドと机が置いてある子供室です。自然光は入りますが不可視で遮音性能があるガラスブロック壁で仕切られています。常に他の家族からプライバシーが守られている極私的な場所(シェルター)です。ここでは帰宅した子供が例外なく落ち着くことができます。他方「札幌市中央図書館アトリウム」は天井高9.1mで256.2㎡の面積です。図書館を訪れる市民があふれています。隣接する公園を眺め、壁と天井のガラスからの自然光に溢れた光景に非日常の喜びを感じられる場所(シェルター)です。大きなアトリウムが私たちの心に与えるものと小さな子供室のそれ、つまり大小の異なるシェルターのそれぞれが人の心に響くものの違いに私たちは気づきつつ、生活しているのです。ではどのように響いているのか、何がそうしているのか、という考察は次回のお楽しみに。(山之内裕一・山之内建築研究所)


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