木曜日, 9月 28, 2017
作品発表会2017
作品発表会2017。私の今年の発表住宅は、「浦河の家」を選びました。発表のキーワードは、耐震、断熱、ベタ基礎、スキップフロアーです。浦河は地震が風土の一部となっているような印象がある地域。そうした理由で私の発表テーマが決まりました。建築は風土からそのカタチを導かれる、と思います。ですから浦河の住宅は耐震性を備えています。そして寒冷地建築です。作品発表会は、12月1日(金)、会場は北海道立近代美術館講堂(札幌市中央区北1西17)です。
土曜日, 8月 12, 2017
浦河の洋風建築
キリスト教開拓団「赤心社記念館」については、以前書いたが、今回は「旧関根重郎邸」。北海道の明治期洋風建築の特徴である、下見板張り、上げ下げ窓を持つ。知る人ぞ知る地元の名建築であるようだが、私は初対面なので建物の来歴などは不明。窓まわりの装飾的な意匠は特に目を引く。だれがどのように作ったのだろうか。地元の人に場所を教えていただいて見に行った。浦河町の裁判所の前にある。未確認だが持ち主が引き取り手を探しているという情報もあるようだ。
水曜日, 7月 12, 2017
「最新の技術を取り入れたブロック住宅」をつくろう!
かつて北海道はブロック住宅、と言われた時代がありました。始まりは昭和30年代で、今から60年前のこと。耐火性、断熱性に優れた防寒住宅としてスタートし、官民一体となって地域の風景をつくるほど多くつくられた家型フォルムの筆頭格、いわゆる「三角屋根の家」です。
最近は、地域遺産として見直されリノベーションを施して再販市場に供給される例も多い。そうした流れをみていると、家型はもちろん、敬遠されがちなブロックの素材感も支持されているようです。
ではなぜ新築ブロック住宅が増えないのかという疑問だけが残るのです。
建設価格の高騰が原因だというのですが、はたしてそうなのかと思う。
実際に、建設費をあたってみますと、ブロック工事費自体は木造の材料費と大差がないことが分かりました。つまり、木造とほぼ同等の予算でつくることができるのです。
リプラン最新号(平成29年6月26日発行、リプラン北海道117号)にて、連載記事
「Q1.0住宅デザイン論」第8回「最新の技術を取り入れたブロック住宅」として拙作「小屋群住居O」が論考対象になりました。室蘭工業大学名誉教授・鎌田紀彦先生により読み解かれています。
土曜日, 6月 17, 2017
赤心社記念館・浦河町
正面外観 |
上げ下げ窓と下見板張り外壁 |
使用していたラウンドテーブル |
室内全景 |
牧畜風景写真と牧柵 |
この海を渡って入植した。対岸の函館から。 |
下見板張り、上げ下げ窓の特徴がみられる、木造平屋の明治期洋風建築です。詳しい建築的資料を入手していないので、目視以外の情報はありません。室内仕上げは床壁天井すべて木仕上、壁天井は塗装。当時使用していた十字組脚のラウンドテーブルが展示されています。椅子も未整理の別室にあった。展示品の薬収納棚が面白い。メンターム、ガマアブラ、大学目薬、中将湯などの文字が読み取れます。
「赤心社記念館は、旧赤心社荻伏出張所事務所です。明治21年6月1日に赤心社(現赤心株式会社)が行った農耕・牧畜・樹芸・養蚕・商業など諸事業の事務所として、現荻伏駅前に新設されました。赤心社は、北海道開拓を目的に鈴木清によって明治13年8月に組織されたクリスチャンによる開拓団です。翌14年5月には50数名が幌別川流域に入植し、明治15年5月には愛媛・兵庫・広島県より澤茂吉等80数名が元浦河(現荻伏)に入植しました。大正7年、赤心社事務所は荻伏村に寄付され、公会堂として現在の荻伏支所の位置に移転後、大正14年から荻伏村役場庁舎として活用されました。さらに、昭和29年現在地に移転し、浦河町郷土館として再利用されました。そして、昭和49年に赤心社記念館と改称して現在に至っています。」(浦河町HPより)昨日、浦河町の帰りに立ち寄りました。
水曜日, 6月 07, 2017
長く住むために~20年目の改修例
20年前に竣工した東苗穂のN邸、クライアントの要望で部分的に改修しました。屋根はガルバリウム鋼板蟻掛葺の無落雪スノーダクト方式でコーキングを部分的に施工。第3種換気のトップファン(フィンランドVILPE社製)は正常運転を確認したうえ日本の代理店ジェイベック社に点検を依頼しています。すでに耐用年数を超えているため機能停止する前に対策をしているところです。
浴室の壁天井は防水左官モールテックスを施工。視覚的にはザラザラした質感ですが表面はツルツルに研ぎだされています。バスコート窓も新規に作り替えた。これで今後20年は大丈夫です。
VILPE社製トップファン、まるごと取り換えかOR排気塔機能を生かして室内側に省エネ対応の新型ファンを取り付けるか検討中。 |
スノーダクト。 |
防水左官モールテックス。 |
N邸全景。コーナー部は北側斜線で屋根形状が決まった。 |
つたの勢いはスゴイ。コンクリートブロックは当然のことガルバリウム鋼板も覆いつくしてしまいます。 |
金曜日, 6月 02, 2017
ブロックの和室
床仕上げをタタミ敷とするだけで和室を名乗るのは少し気が引けるものの、tatami room と表記すれば立派な和室に見えてくる。太鼓張の障子などで間仕切すればこれを和室と言わない方が不自然に思えてくるから不思議。合わせる照明器具がイサムノグチの提灯ペンダントで決まった日にはダメ押しである。ここまでくるとコンクリートブロックの200mm間隔の目地割は実は障子の桟に合わせていたのかとさえ考えてしまうというものだ。
タタミの話で、イグサなど天然素材のタタミよりも工業製品の新素材のタタミのほうが、アレルギーの原因になるダニが集まらないという調査結果があるという。何でも自然素材にしておけば大丈夫というものでもないらしい。障子も普通の和紙ではなく破れや貼替の心配が少ない樹脂繊維入りのワーロン和紙を使用しているからクライアントも安心なのだ。そうだいっそのこと床はすべてタタミというのはどうだろう。壁はもちろんコンクリートブロックでつくるのだがきっと不思議と合うかもしれないと思う。
そう思いながら最新号の週間ブロック通信「和の素材とコンクリートブロック」を書いた。
タタミの話で、イグサなど天然素材のタタミよりも工業製品の新素材のタタミのほうが、アレルギーの原因になるダニが集まらないという調査結果があるという。何でも自然素材にしておけば大丈夫というものでもないらしい。障子も普通の和紙ではなく破れや貼替の心配が少ない樹脂繊維入りのワーロン和紙を使用しているからクライアントも安心なのだ。そうだいっそのこと床はすべてタタミというのはどうだろう。壁はもちろんコンクリートブロックでつくるのだがきっと不思議と合うかもしれないと思う。
そう思いながら最新号の週間ブロック通信「和の素材とコンクリートブロック」を書いた。
日曜日, 4月 16, 2017
ブロックの作業小屋
小屋がブームになって久しい。数日前、書店で世界中の小屋の写真が載っている本を立ち読みしたのですが、小屋には人の心をとらえて離さない魅力があることを改めて感じました。私の小屋の原風景は、北海道の農漁村の作業小屋なのですが、板張りのすきまから差し込む木漏れ日のような陽ざしと共に思い起こされます。最新号の週間ブロック通信ではそうした作業小屋をブロック造で設計した事例を紹介しています。
水曜日, 3月 22, 2017
木曜日, 2月 23, 2017
混構造と三角屋根
定期連載している「ブロック造住宅の系譜」の最新版です。今回のテーマは「混構造と三角屋根」についてです。北海道には三角屋根コンクリートブロック住宅が盛んに建てられた過去の歴史があります。三角屋根を突き抜けてそびえる暖房用ストーブの集合煙突に、初めて北海道を訪れた友人が「まさしくこれは北海道の風景だ」と感嘆したものです。
当初から三角屋根は木造で、1階がコンクリートブロック造の混構造でした。時を経て、私たちが設計する住宅もまた同じ組み合わせの混構造になりました。構造やコスト、CO2排出量の環境負荷や施工効率、景観などから混構造をとらえ直してみたいと思います。
週間ブロック通信は、コンクリート製品の業界紙です。通常A4サイズ12ページ程度です。全国のコンクリート系建材メーカー、各地方自治体や県や道などの官公庁を読者層としています。
水曜日, 2月 15, 2017
月曜日, 2月 13, 2017
色彩物語
海岸の波打ち際に転がっている小石を拾ってみた。さまざまな色がついている。黒色、褐色、白色、灰色などいかにも火山岩のようなものから太古の地層から切り出されたようなものまでさまざまだ。近くの川から流れついたのだろうか、または荒波に浸食され海岸の地層から崩れ出したものだろうか。いずれにしろこの小石たちは土地の色彩を持っている。
土地産の材料を使うことで意識を高め、そこにしかない存在になり、住まい手と共に唯一無二の物語になる。木材や石材などと同じように色彩もまた素材のひとつに数えられる。
火曜日, 2月 07, 2017
DIYの型紙
私がDIYという言葉に出会ったのは、確か1970年代の「都市住宅」誌だった。自分自身でやる、自力施工の住宅紹介記事だった。設計という空気のような行為が、施工というリアルな存在に満たされていく思いがした。以来40年、棚一枚を取り付けるにしろ、デザインを考えながら寸法を測り支持金物を固定するという完成までの体験は、実に満足するものだ。素人仕事の出来はともかく、そこにはモノづくりの楽しさがある。実は私の年老いた母親もまた、何かとDIY好きなのだ。特に、衣服については昔取った杵柄というのだろうか、ちょっとした普段着は自分で作ってしまう。母が2年前に作った作業ズボンの型紙を、半ば強引に譲り受け額に納めてみた。型紙は、紙袋の裏面クラフト紙の再利用である。これもなかなか泣かせるのだが、額に納めるとちょっとしたアートに見えてくるから不思議だ。
木曜日, 2月 02, 2017
はなれ書斎
「八軒の家」がHOBEA会報NO.13に掲載されました。HOBEAは、一般社団法人北海道建築技術協会のこと。「北海道メーソンリー建築協議会が目的や事業の拡大に伴い名称変更したもので、この協会に北海道外断熱建築協議会、北海道建築診断研究会が新たに加わって、平成16年4月より新しい活動に入った産学官の協力団体です。(中略)地域の特質や資源を生かす技術、地産地消を促す技術、生活の知恵が生かされる技術、自然の良さを発見する技術、地域文化の創造に働きかける技術は、これまの三団体がまさに取り組んできた課題ですが、こうした地域に根ざした社会への働きかけを通して、地域の人たちと技術者、研究者がともに成長していくことを願っています。」(北海道建築技術協会パンフレットより、「持続可能な社会の創造を目指して」と題する荒谷登初代会長の設立趣旨を転載)
「八軒の家」は、1階が補強コンクリートブロック造、2~3階を木造とした混構造3階建て住宅です。1階ブロック造が室内に外部的雰囲気を取込むことで奥にある書斎が離れのように感じられます。
木曜日, 1月 26, 2017
コロンブス工法とスキップフロアー
2017年1月も残りあと数日で終わり2月になりますが、今年の初ブログです。今年も私どもの住まいづくりや建築にまつわるさまざまな発信を心がけますので、よろしくお願いします。
今年の一番手は昨年末に完成した「浦河の家」のご紹介です。北海道の中でも地震多発地域の浦河ですから、耐震性が期待できる「コロンブス工法」(地盤置換工法)を基礎に採用いたしました。建物荷重と基礎がバランスよく同等荷重になるよう地盤をEPS断熱材に置き換える基礎工法です。
その結果、凍結深度まで下げた床を最下階とするいわゆる「スキップフロアー」構成が可能となりました。2階建てですが4層フロアー構成になっています。荷重バランスのために設けている基礎下200mm断熱材が耐震・断熱性能を向上させています。(写真撮影:安達治)
今年の一番手は昨年末に完成した「浦河の家」のご紹介です。北海道の中でも地震多発地域の浦河ですから、耐震性が期待できる「コロンブス工法」(地盤置換工法)を基礎に採用いたしました。建物荷重と基礎がバランスよく同等荷重になるよう地盤をEPS断熱材に置き換える基礎工法です。
その結果、凍結深度まで下げた床を最下階とするいわゆる「スキップフロアー」構成が可能となりました。2階建てですが4層フロアー構成になっています。荷重バランスのために設けている基礎下200mm断熱材が耐震・断熱性能を向上させています。(写真撮影:安達治)
エントランスポーチのスロープ仕上げはコンクリート洗出し(野田左官) |
外壁板は北海道産カラマツ材オスモ塗装仕上げ |
居間内壁は北海道産カラマツ合板無塗装 |
4層のフロアーが交差する階段室 |
月曜日, 12月 26, 2016
車庫
毎月一回寄稿している「週刊ブロック通信」の「コンクリートブロック住宅の系譜」の最新号です。新年号らしくカラーページで掲載されます。カラ-ガラスブロックをイタリア国旗のように並べた明り取りがポイントの車庫に焦点を当ててみました。コルビュジェやカーンの住宅をみると、自動車が普及する20世紀の中頃には、米国や欧州の戸建て住宅には車庫がしっかりと設計されていました。70年以上前から、別棟型の車庫や組込み型の車庫があったことに今更ながら驚きと関心をもちました。今回の寄稿は、戸建住宅における車庫のありかたを考える良い機会になったと思います。ともあれ今回もコンクリートブロックへの賛歌です。
火曜日, 12月 06, 2016
12月の雪
木曜日, 11月 10, 2016
木曜日, 9月 15, 2016
ブロックらしさのカタチ
夏季2か月中断していた業界紙・週間ブロック通信コラム「ブロック住宅の系譜」の最新号です。、設計作業における形の持つ意味を考察した前回を受けて、特徴的なブロック建築のディテールについて報告している。素材独自の構法から導き出された必然的なカタチを例に挙げて、コンクリートブロックの素材感や比例がつくる美意識を伝えたいと考えた。
月曜日, 8月 01, 2016
地盤と基礎断熱
北海道浦河町の個人住宅現場にて、耐震性と断熱性を満たすために、軟弱地盤+基礎断熱+暖房蓄熱=コロンブス工法、を試すことになった。既存建物の建て替えであり、旧建物は木杭を使用している。コロンブス工法は、地盤置換工法の別名。PLG社の特許工法名称。住宅の総重量を試算し、それに相当する地盤を軽量な素材に置き換え構造的バランスを取る工法。先の熊本、5年前の東北の震災でも有効性が実証されたという。
原理はPLG社のウェブサイトからの引用で「基礎下の重い土を取り除き、そこに軽いEPSのジオフォームを入れ、軟弱地盤にかかる建物の重量を軽くして沈下を抑えます。さらに、地盤とのバランスをとり、建物が傾いて沈む不同沈下を防ぎます」「基礎下全面に敷設されるジオフォームの断熱性によって、床下の熱損失が減り、基礎コンクリートに蓄熱する躯体蓄熱暖房などによってCO2削減に効果があります」となる。建物基礎と地面との間で縁を切る免震工法でもある。
EPS t=200mmを敷き込み、隙間に船底のキール状梁型をつくる |
水曜日, 6月 22, 2016
週間ブロック通信6月20日号
業界紙・週間ブロック通信で毎月連載しているコラム「ブロック住宅の系譜」の最新号です。今回は、設計作業における形の持つ意味を考察している。手始めに特徴的な円形について取り上げた。
文章は、自然と対峙するために人工的な幾何学として円形を用いた、しかもブロックでというところで終わった。なぜ円形なのか?という批評的な論考まではたどり着いていない。宿題です。
文章は、自然と対峙するために人工的な幾何学として円形を用いた、しかもブロックでというところで終わった。なぜ円形なのか?という批評的な論考まではたどり着いていない。宿題です。
登録:
投稿 (Atom)