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木曜日, 9月 13, 2012

阪神間の数日

月曜の朝、神戸大学へ向い医学部保健学科での出張授業を火曜日早朝から行なって、水曜日に札幌へ戻った。その間、現在は武庫川女子大(建築学科が使っている)の旧甲子園会館(1930年、遠藤新設計)、同じくヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)(1924年、フランク・ロイド・ライト設計)、アサヒビ―ル大山崎山荘美術館(地中美術館は安藤忠雄設計)等を駆け足で見学した。30度を軽く超える炎天下を歩きたっぷり汗をかいた。
神戸大学での講義を含め詳細は、いずれまとめて報告する予定。

旧甲子園ホテル(1930年、設計:遠藤新)

旧山邑邸(1924年、設計:FLライト)

アサヒビール大山崎山荘美術館(地中美術館部分 設計:安藤忠雄)

神戸三宮の宿を後にして、北野のローズガーデン(1977年、安藤忠雄設計)、北野アレイを再訪した。テナントが変化していたものの、竣工時の原形をとどめていることに驚いた。神戸大学出身のまた北海道出身建築家として、毛綱毅曠(もずなきこう)を忘れるわけにはいかない。そこで41年前に発表された日吉台教会(1971年)を見るために高槻に向かった。途中、芦屋のルナホール(1970年、坂倉建築研究所)を眺めてJR芦屋駅から電車に乗ろうとした時に、こともあろうに安藤忠雄氏ご本人に遭遇した。まったくの突然の出会いだ。朝から3件の現場を見て回っていて事務所への帰路だという。私は以前に数度お目にかかっていることをお伝えして、あらためて挨拶させていただいた。何かしらご縁があるのだろう、古希を過ぎてますますエネルギッシュに活躍されている。
ローズガーデン(1977年、設計:安藤忠雄)
北野アレイ(同上)
芦屋ルナホール(1970年、設計:坂倉建築研究所、左側は仏教会館(1927年、設計:片岡安)
日吉台教会(1971年、設計:毛綱モン太(毅曠))

日曜日, 9月 09, 2012

神戸大学出張授業

10日から12日まで、出張授業のため神戸大学の医学部保健学科へ向かいます。UD4(ユニバーサルデザイン4)研究会の3人による出張授業です。私は、来週から始まる北星大学での後期授業への前哨戦と位置づけ、理学療法士にとっての建築空間の読み解きの視点を構築するというテーマに沿って話をする予定です。テキストは、届いたばかりの「建築ジャーナル誌」抜き刷り8ページ。
昨日は、苫小牧にてASJイベントに参加しました。あいにくの悪天候のため、来場者は少なめでした。そのため、イベントの空き時間を利用して出張授業の構想を練ることができました。

月曜日, 8月 27, 2012

建築ジャーナル誌

建築ジャーナル誌9月号巻末に、山之内建築研究所が8ページにわたって特集された。ちょっと変った編集にしましょうという編集者の甘言に乗って、20年間の軌跡とでも言うような一つの読み物として全体を構成した。実際に印刷物になって手にしてみると、小さな感激もまたひとしおである。
山之内のや行は50音順ではいつも最後で今回も指定席のような巻末だが、内容はちょっとは本の重石になっているかなと思っている。広告に協賛していただいた関係各社の皆様に感謝したい。

水曜日, 8月 22, 2012

木下泰男(建築家)展

札幌市内にあるギャラリー創にて、木下さんの展覧会が開かれている。木下さんは、ガウディの弟子であったジュジョールの研究者で、スペイン・モンフェリーの未完の教会堂を実測調査したことで知られている札幌在住の建築家。今回の展覧会では、その実測図などが展示されている。


2年前の、バルセロナ行では無理を言ってモンフェリーまで道案内をお願いした。コンクリートブロックの教会堂(日本ではコンクリートブロックのサグラダファミリアというふれこみだった)というので、なんとしても見ておかねばと思ったのだ。当日、教会堂はあいにく扉が閉まっていたのだが、木下さんが役場の管理人のところまで行って交渉してくれたおかげで内部を見ることができた。今回その時の感謝を伝えた。

ギャラリーで、右側が木下さん


教会堂をイメージしたと言う模型、建築家へのオマージュ
工事は、1928年に中止され、60年以上後に再開されて完成している。1929年は、バルセロナ万国博があり、大理石で壁と床を埋め尽くしたミースのバルセロナパビリオンが建設された。モンフェリーの教会堂は、いわば廃材を使って地元の有志が手作りしたもの。この二つの建築が同時代に同じ地域に出現したことに驚く。

月曜日, 8月 20, 2012

出張講義

2004年から、少人数のUD(ユニバーサルデザイン)の研究会に参加している。ほぼ月一のペースで会合を重ねてきた。しかし、ここ1年ほどは休眠状態が続いている。数ヶ月前、関西の大学に転出した主要メンバーから出張講義の要請があった。なんと、「ユニバーサルデザインの住宅設計」というテーマで講義をしてほしいという。3週間後である。4週間後には、北星学園大学での後期授業が始まるから、たった1日の講義だけれど立派な前哨戦となるだろう。今回は医学部の保健医療学科での講義で、建築学科の学生相手ではないところが共通している。
基壇のある側の全景
この建築は、車椅子が使えるだろうかといったことを最初に話題にしたいと思って、意地悪くも巨匠ミースのバルセロナパビリオンを眺めた。

実は、段差がない車寄せ側が正面なのだという記述があった。誰もが使えるようにきちんと考えられていることがわかって、脱帽している。ただしトイレはない。
段差のないアプローチ

土曜日, 8月 11, 2012

建築ジャーナル誌

建築ジャーナル誌9月号の事務所特集に掲載する原稿が、昨日ようやく上がった。いろいろな事情により、今回はモノクロのいたってシンプルな印刷だが、組積造を骨格にして私のこれまでの設計活動のプロセスを組み立てている。写真は、SHINKOTONI-HOUSINGの中庭を見たもので、写真家の安達治さんと二人で隣家の屋根に上り、私が安達さんのベルトをしっかりつかんでサポートし、空中に身を乗り出して撮影したもの。はるかな地平線に住宅をつくる、と題した最初のページを飾っている。

火曜日, 7月 24, 2012

ヤンキースのイチロー

昼休みに何気なくTVを観ていたら、イチロー選手がヤンキースのユニフォームを着ている。背番号はいつもの51ではなく31番だ。MLBでは時々面白いことをすることがあるので、今日も何かの演出か?と思っていたら、電撃移籍だという。日本のサムライは、西海岸から東海岸に活躍の場を求めたのだ。また目が離せなくなった。写真は、NHK-BS画面から。

土曜日, 7月 21, 2012

札幌聖ミカエル教会

21日午後、打合せの道中にアントニン・レーモンド設計で1960年竣工「札幌聖ミカエル教会」前を通る。低く抑えられた軒を支える赤レンガの壁が美しい。教会の南にある付属幼稚園から数10メートル先に今は駐車場になっている場所がある。黄色のレンガ壁が残っているのだが、これは教会の現場を監理した建築家、故・上遠野徹さんが設計した医院の跡だ。「聖ミカエル教会の遺産は、北海道建築史上に残されるべき価値ある事項だと思います(25ページ)」と「建築家の清廉~上遠野徹と北のモダニズム」(建築ジャーナル発行)で、レーモンド建築との大きな出会いを語っておられる。10代の頃、私の実家は教会の近所にあり風邪をひいたときなど医院のお世話になった。私の記憶の中にもレーモンドと上遠野徹さんのレンガ壁が刷り込まれている。
聖ミカエル教会の赤レンガ壁
上遠野徹さん設計の医院の壁

木曜日, 7月 19, 2012

バルセロナのタワー

ASJから送られてくるカザベラ誌#813にバルセロナの建築家エンリック・マシップさんが設計したディアゴナル・ゼロゼロ(テレフォニカタワー)が載っている。手元に届いたのは数日前だったが、ようやく今日ページを開いてみて初めて記事に目を通すことができた。現場で設計者のエンリック・マシップさんから直に説明を聞いていたのだが、日本語のテキストを読んで、初めて理解できたところがたくさんあった。
ガラスにシルク印刷された模様は波しぶきをモティーフにしていること、ガラスの外側にある耐風梁と共に日差しをさえぎること、その他さまざまなエコ手法やサスティナブル手法が導入されていることなどが理解できた。
地中海を望む、ガラスの遮蔽模様は波しぶき、汚れが目立たない
屋上のメンテナンスゴンドラ、このゴンドラの使用回数を減らす

左ゼロゼロタワー、右フォーラムビル


日曜日, 7月 08, 2012

七夕の夜

7日(金)の夜、建築家の横河健氏がビートルズを歌う、という集まりに参加した。先月、横河さんは講演会で札幌に来られていたのだが私はあいにくお会いしていなかった。2004年3月に横浜のアトリエに横河さんを訪ねて以来の再会で、実に8年ぶりにその時のお礼を伝えることができた。
私もビートルズ世代、当時高校生でリアルタイムで初来日公演をTV観賞した一人だ。ポールマッカートニーとキーが同じと自ら言う艶のある高音で「here, there and everywhere」をはじめ数曲を熱唱された。向かって左のサングラスをしているのが横河さん。エンターティナーです。

火曜日, 7月 03, 2012

ビジュアルシンキング

クリティカルシンキングcritical thinkingというのはよく聞く言葉。批評的思考とでも訳すのだろう。ビジュアルシンキングvisual thinkingは視覚的思考。初めてテニスのラケットを買いにスポーツショップに行った時のこと。当時人気のボルグ選手が使用していたドネイのものを見た目の感覚で求めたら、インストラクターをしているという店員さんに注意されたことがあった。いわく、ドネイ最新型はどこに当たっても飛ぶ、あなたのような初心者はスウィートスポットに当たって初めて飛ぶような(難しい)ほうがいいのだと。なるほどである。明快な論理とインストラクター店員さんの迫力に押されて難しいラケットを手にしたおかげで(?)、いまだに上達していない。私には見た目で選んだ好きなラケットで楽しくテニスをしたほうが合っていたかもしれない。きっとそうだ。ビジュアルシンキングがクリティカルシンキングに屈した一瞬であった。
屋内消火栓のステッカー。2年前バルセロナで施工中の建物を見学した時に設計者の建築家が気に入らなくてはがしたやつを譲り受けた。バルセロナの標準標識だという。悪くはないと思うのだが、どこの国でも建築家はオリジナルを求めたがるものだなと妙に感心したことを覚えている。ビジュアルとして許せないものが彼にはあったのだ。

金曜日, 6月 29, 2012

真夏日

29日、正午の気温が30度に迫る。ちょうどよい気温の庭で、花を眺め涼をとる。

日曜日, 6月 17, 2012

雨の日

17日、昨日から一変して雨。咲いたばかりの庭のバラが雨に打たれて鮮やかな赤に染まっている。

金曜日, 6月 15, 2012

札幌まつり

6月14日~16日は札幌まつり。札幌まつりとは通称で正しくは北海道神宮例大祭。先週末のよさこいソーラン祭りに、まつりの元気で自由な部分を持っていかれたような印象がある。それでも、地元の工務店が札幌まつりは休日にするという昔ながらの慣習を守っているのを聞くとホッとする。
札幌ではこのまつりを機に一気に夏に向かうような気配がある。季節の区切りの一瞬だ。
と思いながら運転していたら、なんと目の前にリアルマリオカートが走っているではないか。
まつりに浮かれて出てきたのでしょうか、追い抜きざまに見た横顔にまたびっくり、色白のマリオひげの外人のようでした。くれぐれも安全運転で、通行人の眼を楽しませてください。

月曜日, 6月 11, 2012

札幌の風景

9日、10日は、よさこいソーラン祭りがあった。最寄の新琴似会場で、地元のチーム「新琴似天舞龍神」の出陣を見守った。この季節の風景だ。
10日午後は、打合せへの道すがら札幌テレビ塔の真下にあるスノーリングなる白いオブジェ風の創成川に架かる橋を通ってみた。新しい風景だ。

月曜日, 6月 04, 2012

融雪機の定期点検

積雪地に住む人間でなければわからない。融雪機の便利さもまたそうした特殊な性格を持っている。灯油で雪を融かすしかも直火で。じつにワイルドなこの装置は17年も前に設置された。実際に真冬の除雪作業時ではバーナーの熱が焚き火のように凍えた体を暖めてくれるので、作業自体は嫌いではない。むしろ好んでいるくらいだ。夕刻など白い雪の下から真っ赤な炎が透けて見えるのは美しい。しかし身近なところでこれほど無駄にエネルギーを使いCO2を排出するものも他にない。大自然に反逆するかのような装置。小心な私は、使用を必要最小限にしなければといつも念じている。過去に数万台を売ったというメーカーはすでに倒産したと聞く。大自然の怒りに触れたのかもしれないのだと私はひとり合点している。


灯油バーナーで熱した鉄の覆い、その上に置いた雪の塊を融かす。水になって溜まったら水中ポンプで汲み上げて排水する。機械はバーナーと水中ポンプそしてリミッターと呼ばれるスイッチが鉄製の箱に納まっている。点検の作業員の方は的確な説明とともに手際よく仕事をこなしていた。

日曜日, 6月 03, 2012

日曜の庭には

3日、日曜の午前中は庭のベンチで気持ちよく時間を過した。緑の上を涼しく抜けていく風を感じながら、一時間余りの軽作業。コーヒーを飲み干したところで昼になり撤収。

木曜日, 5月 31, 2012

建築展

5月30日から6月4日まで札幌市中央区のギャラリー創にて建築家・藤島喬さんの建築展が開かれている。昨日30日は、司会者が藤島さんから話を引き出すギャラリートークと参加者によるオープニングパーティーがあった。


出身地の栗山町で20年間33軒の個人住宅を作り続けているのを含め、のべ180軒の住宅設計を経験してきた藤島さんの話は含蓄があって深い。

藤島さんは大学の一年先輩で、卒業時から現在に至るまで真摯に設計する後姿を私は頼もしく見続けている。
すこし照れながら自作を説明する藤島さん

木曜日, 5月 24, 2012

展覧会

かつての同僚で現在神戸の武庫川女子大で建築を教えている森幹雄さんから、展覧会の案内が届いた。いつものように趣のある町並みを描いた水彩画である。森さんは私の絵の先生で、設計事務所での修行時代に建築パースの描き方を教えていただいたことがある。今回の題材は中山道の馬籠宿。なつかしい。
5月27日から6月2日まで、大阪市北区の大阪現代画廊で開催。

金曜日, 5月 18, 2012

敷地のアルゴリズム(算法)

クライアントにとって敷地選びは楽しみでありまた困難なもの。ここでは住宅を建てる際の敷地を読み解くいくつかの手順、それも誰でもできる簡単な分析手法を述べる。

まず、地図や写真は必須。事前にグーグルマップやストリートビューで押さえる。不動産屋が公開している場合もあるので準備しておくのは言うまでもない。

敷地に乗り込んだら、目を凝らして観察する。写真を撮りその場で印象を書き留めておく。車が止まっているとか学校帰りの子供たちが歩いているなど。ほとんどの場合その現場メモがその後を決める。

まず北を探す。これは真北設定されたiPhoneアプリが便利。一日の太陽の動きを知る。緯度も同時に知ることができるから夏至冬至の南中時太陽高度もわかる。次に敷地の傾斜をみる。道路の傾斜は縁石に置いたiPhoneで簡易測定する。隣家の影の方向や範囲、風向きや木々の枝ぶりなどを記録する。観察した日時も忘れずに。

デスクに戻ると私の場合、敷地図に5~6メートルグリッドをのせてみる。そして現場メモや撮影した写真を見ながらグリッドひとつひとつを板チョコのひとやまのように割り味わいその違いを評価していく。評価軸はシンプルに、庭や居間や駐車スペースや玄関といった場がどのグリッドに適しているかを3段階評価する。評価点の高いグリッドが客観的な意味を持つことになる。そして大きな間違いを犯すことがない。かといってこれのみに頼ることはできない。気を許すと自動翻訳機のようにピントを外すことにもなるからだ。最後はこのアルゴリズムで得たものと建築家の経験と直感を重ね合わせる作業が待っている。

木曜日, 5月 17, 2012

勇気のでる本

発行は2006年だから6年も前の「にほんの建築家伊東豊雄・観察記」を読んだ。正確には現在も読んでいる最中なのだが、8割方まできたので一休みしてこれを書いている。


著者の瀧口範子さんの前作「行動主義レムコールハース・ドキュメント」を読んだ時同様に次々と展開する映像のような再現力に押されて心地よく読み進んだ。

私のように地方で設計活動している者と、伊東さんのように世界を相手にしている建築家とでは違う職業のようにも思えるのだが共通点が多くあることに驚く。そう気づかせてくれるのは注意深く考察し平易な言葉で表現する骨太な文章ゆえなのだろうと思う。私にも勇気を与えてくれる一冊だ。

水曜日, 5月 16, 2012

モノクロ写真はがき

以前、古物店で入手した東京駅のモノクロ写真葉書。「東京名所、東京驛」とある。よく見ると手前に自動車、人力三輪車、人力車が映っている。たしかにドーム型の屋根が載っている。自動車はT型フォードのタクシー、人力三輪車は前に客が乗るタクシーのようだ。クリックすると拡大します。竣工:1914年(大正3年)、設計:辰野・葛西建築事務所。

月曜日, 5月 14, 2012

敷地

先月来いっしょに土地さがしのお手伝いをしていた住宅の敷地が決定し、札幌市の南区でいよいよ家づくりが始まる。敷地はいつも異なる表情を見せてくれます。季節と時間そして天候、人や建物や樹木によって見え方が変化します。
常盤の家の敷地
家づくりの無事を祈願して