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木曜日, 4月 03, 2025

建築保存の正義

札幌市役所屋上から500mm望遠で撮った。当時、開拓の村への移転議論の中で現地保存が決定した時計台。今から半世紀前の1973年8月、卒業設計の準備調査として札幌市建築課へヒアリングに行った帰り。デザインサーベイという言葉につき動かされ、国道5号線の幅員までも赤信号時に横断歩道上でテープ実測している。(写真上) マチに出たついでに時計台に立ち寄ってみた。外壁の羽目板の一部に塗装が劣化剥離しているのが散見できる。北側は許容範囲内なのだが、南側の塗装が劣化剥離している。市のホームページで確認すると、7年前の2018年に外壁塗装の劣化剥離部のみを部分的に塗り直している。もちろん改修記録もある。従前通りに劣化剥離部分を再塗装し、地域の顔・重要文化財としての美しい外壁を再現する、今年がその時なのかもしれない。改修費用を心配する向きもあるがすでに予算措置されていると信じたい。国指定の重要文化財なので国庫補助50%+北海道補助25%が見込めるため、改修工事費の札幌市実質負担は25%に過ぎず、広報誌によると札幌市新年度予算は1兆2666億円という巨額であることから、予算不足を理由に出来ないはずだ。 そもそも現地保存に導いた建築史家の論理は、時代の建築をそのまま残すことで歴史の真実を記録する価値を認める。立地や平立面と共に工法や素材も可能な限り保存する、それが建築保存の正義正論であり維持費用軽減目的で安易な素材工法に置き換えるなどは曲論だ。(写真下)

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