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木曜日, 6月 27, 2013

私のルイスカーン#2

スライドポジフィルムからJPEGデータに作り直して行く作業は、手持ちの古いスキャナーで十分だった。ばらばらに詰め込まれたフィルムを撮影順に並べ替えて、当時の記憶を引きだしながら当日どのような経路をたどったのかを推理する作業は、楽しい。向けられた被写体が私自身の興味のありかを示している。レンガ造の議員宿舎や大臣宿舎を見学しながら、中央にあるコンクリートの議事堂を早く見たいという気持ちでいるのだ。シリンダーやキューブの積み木のような姿は、ファティプルシクリの有機的な赤砂岩建築や、ジャンタルマンタルの幾何学的な日時計建築を見たとき同様の驚きがあった。そのうえ、建設中なのだ。建築現場には、出来上がった後の洗練された姿にはない迫力があるものだ。それにしても、この白大理石の目地はどういう意味があるのだろう。地元の人たちが着ているサリーの布の縁取りのようにも、羊や牛から樹木を守るための竹で編んだ籠のようにも見えた。地と図の関係のように、強く意味を発している目地は現場作業ではコンクリートの打継の印でもあっただろう。図面上で推測すると、目地は1.5m程度の間隔に入っている。
丁度仕上がりの良いコンクリートが打てる高さでもある。レンガが職人の手になじむサイズになっているのと同様に、この目地は1回のコンクリート打設になじむサイズを示している。それを、30数段積んでいる、まさにこれは視覚的に組積造を表現していると言っていいのではないか。
1975年撮影 バングラデシュ国会議事堂南面モスク入口(設計:ルイスカーン)


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