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日曜日, 4月 16, 2017

ブロックの作業小屋

小屋がブームになって久しい。数日前、書店で世界中の小屋の写真が載っている本を立ち読みしたのですが、小屋には人の心をとらえて離さない魅力があることを改めて感じました。私の小屋の原風景は、北海道の農漁村の作業小屋なのですが、板張りのすきまから差し込む木漏れ日のような陽ざしと共に思い起こされます。最新号の週間ブロック通信ではそうした作業小屋をブロック造で設計した事例を紹介しています。

水曜日, 3月 22, 2017

生活者視点

技術の話だけではなく、美意識だけでもない、機能論かといえばそれだけでもない。生活上の便利さや暮らしやすさや経済的な負担軽減などを仮に「生活者視点」と呼ぶ。建築というカタチになるもっと前の段階で突き詰めて考えなければならないことなのだが。建築になりにくいという一点で、肉薄できずに早々に切り上げてしまうことが多いものでもある。今回のテーマはブロック造建築の最大の売り「熱容量」について、対極にあるように見える「生活者視点」と結び付けて考察しています。設計は面白いものですね。
「週刊ブロック通信」3月27日号

木曜日, 2月 23, 2017

混構造と三角屋根

定期連載している「ブロック造住宅の系譜」の最新版です。今回のテーマは「混構造と三角屋根」についてです。北海道には三角屋根コンクリートブロック住宅が盛んに建てられた過去の歴史があります。三角屋根を突き抜けてそびえる暖房用ストーブの集合煙突に、初めて北海道を訪れた友人が「まさしくこれは北海道の風景だ」と感嘆したものです。
当初から三角屋根は木造で、1階がコンクリートブロック造の混構造でした。時を経て、私たちが設計する住宅もまた同じ組み合わせの混構造になりました。構造やコスト、CO2排出量の環境負荷や施工効率、景観などから混構造をとらえ直してみたいと思います。




週間ブロック通信は、コンクリート製品の業界紙です。通常A4サイズ12ページ程度です。全国のコンクリート系建材メーカー、各地方自治体や県や道などの官公庁を読者層としています。

水曜日, 2月 15, 2017

TV台

以前、住宅設計をしたクライアントからTV台を住宅の雰囲気に合わせてデザインしてほしいとの依頼があり、家具製作会社の担当者に同行して本日納品となった。材質は、シナ積層板。表面仕上げは、クリアー塗装。デザインのコンセプトは、シンプルで実用的で長持ちすること。低予算。シナ積層材でシェーカー家具のように作りたいと思っていた。
引戸手かけ部に積層材の下層が見えている
脚は3枚、無理なく支える
TVを設置

月曜日, 2月 13, 2017

色彩物語

海岸の波打ち際に転がっている小石を拾ってみた。さまざまな色がついている。黒色、褐色、白色、灰色などいかにも火山岩のようなものから太古の地層から切り出されたようなものまでさまざまだ。近くの川から流れついたのだろうか、または荒波に浸食され海岸の地層から崩れ出したものだろうか。いずれにしろこの小石たちは土地の色彩を持っている。
土地産の材料を使うことで意識を高め、そこにしかない存在になり、住まい手と共に唯一無二の物語になる。木材や石材などと同じように色彩もまた素材のひとつに数えられる。

20数年前に関わった、北海道の北端にある利尻島鬼脇集落での住宅群の外壁色は海岸の小石の色彩から抽出した。
利尻富士町鬼脇海岸で採取した小石(1995年)

火曜日, 2月 07, 2017

DIYの型紙

私がDIYという言葉に出会ったのは、確か1970年代の「都市住宅」誌だった。自分自身でやる、自力施工の住宅紹介記事だった。設計という空気のような行為が、施工というリアルな存在に満たされていく思いがした。以来40年、棚一枚を取り付けるにしろ、デザインを考えながら寸法を測り支持金物を固定するという完成までの体験は、実に満足するものだ。素人仕事の出来はともかく、そこにはモノづくりの楽しさがある。実は私の年老いた母親もまた、何かとDIY好きなのだ。特に、衣服については昔取った杵柄というのだろうか、ちょっとした普段着は自分で作ってしまう。母が2年前に作った作業ズボンの型紙を、半ば強引に譲り受け額に納めてみた。型紙は、紙袋の裏面クラフト紙の再利用である。これもなかなか泣かせるのだが、額に納めるとちょっとしたアートに見えてくるから不思議だ。

木曜日, 2月 02, 2017

はなれ書斎

「八軒の家」がHOBEA会報NO.13に掲載されました。HOBEAは、一般社団法人北海道建築技術協会のこと。「北海道メーソンリー建築協議会が目的や事業の拡大に伴い名称変更したもので、この協会に北海道外断熱建築協議会、北海道建築診断研究会が新たに加わって、平成16年4月より新しい活動に入った産学官の協力団体です。(中略)地域の特質や資源を生かす技術、地産地消を促す技術、生活の知恵が生かされる技術、自然の良さを発見する技術、地域文化の創造に働きかける技術は、これまの三団体がまさに取り組んできた課題ですが、こうした地域に根ざした社会への働きかけを通して、地域の人たちと技術者、研究者がともに成長していくことを願っています。」(北海道建築技術協会パンフレットより、「持続可能な社会の創造を目指して」と題する荒谷登初代会長の設立趣旨を転載)
「八軒の家」は、1階が補強コンクリートブロック造、2~3階を木造とした混構造3階建て住宅です。1階ブロック造が室内に外部的雰囲気を取込むことで奥にある書斎が離れのように感じられます。

木曜日, 1月 26, 2017

コロンブス工法とスキップフロアー

2017年1月も残りあと数日で終わり2月になりますが、今年の初ブログです。今年も私どもの住まいづくりや建築にまつわるさまざまな発信を心がけますので、よろしくお願いします。
今年の一番手は昨年末に完成した「浦河の家」のご紹介です。北海道の中でも地震多発地域の浦河ですから、耐震性が期待できる「コロンブス工法」(地盤置換工法)を基礎に採用いたしました。建物荷重と基礎がバランスよく同等荷重になるよう地盤をEPS断熱材に置き換える基礎工法です。
その結果、凍結深度まで下げた床を最下階とするいわゆる「スキップフロアー」構成が可能となりました。2階建てですが4層フロアー構成になっています。荷重バランスのために設けている基礎下200mm断熱材が耐震・断熱性能を向上させています。(写真撮影:安達治)
エントランスポーチのスロープ仕上げはコンクリート洗出し(野田左官)
外壁板は北海道産カラマツ材オスモ塗装仕上げ
居間内壁は北海道産カラマツ合板無塗装
4層のフロアーが交差する階段室


月曜日, 12月 26, 2016

車庫

毎月一回寄稿している「週刊ブロック通信」の「コンクリートブロック住宅の系譜」の最新号です。新年号らしくカラーページで掲載されます。カラ-ガラスブロックをイタリア国旗のように並べた明り取りがポイントの車庫に焦点を当ててみました。コルビュジェやカーンの住宅をみると、自動車が普及する20世紀の中頃には、米国や欧州の戸建て住宅には車庫がしっかりと設計されていました。70年以上前から、別棟型の車庫や組込み型の車庫があったことに今更ながら驚きと関心をもちました。今回の寄稿は、戸建住宅における車庫のありかたを考える良い機会になったと思います。ともあれ今回もコンクリートブロックへの賛歌です。

火曜日, 12月 06, 2016

12月の雪

今朝の雪で事務所から見える中庭が白くなりました。緑もレンガの色もすべて真っ白になる。この季節感がわたしにはたまらなく心地よい。北国に暮らしている恩典のひとつかもしれない。12月に降る雪の最初に想うことです。
事務所階段踊場から中庭を見下ろす。ツツジの雪囲い、仕上げなくては…

木曜日, 11月 10, 2016

玄関のこと

週間ブロック通信11月7日号に、ブロック住宅の玄関についての話を載せています。住宅の外と内を繋ぐ空間として最初に考えておきたいと思いました。

木曜日, 9月 15, 2016

ブロックらしさのカタチ

夏季2か月中断していた業界紙・週間ブロック通信コラム「ブロック住宅の系譜」の最新号です。、設計作業における形の持つ意味を考察した前回を受けて、特徴的なブロック建築のディテールについて報告している。素材独自の構法から導き出された必然的なカタチを例に挙げて、コンクリートブロックの素材感や比例がつくる美意識を伝えたいと考えた。

月曜日, 8月 01, 2016

地盤と基礎断熱

北海道浦河町の個人住宅現場にて、耐震性と断熱性を満たすために、軟弱地盤+基礎断熱+暖房蓄熱=コロンブス工法、を試すことになった。既存建物の建て替えであり、旧建物は木杭を使用している。コロンブス工法は、地盤置換工法の別名。PLG社の特許工法名称。住宅の総重量を試算し、それに相当する地盤を軽量な素材に置き換え構造的バランスを取る工法。先の熊本、5年前の東北の震災でも有効性が実証されたという。

原理はPLG社のウェブサイトからの引用で「基礎下の重い土を取り除き、そこに軽いEPSのジオフォームを入れ、軟弱地盤にかかる建物の重量を軽くして沈下を抑えます。さらに、地盤とのバランスをとり、建物が傾いて沈む不同沈下を防ぎます」「基礎下全面に敷設されるジオフォームの断熱性によって、床下の熱損失が減り、基礎コンクリートに蓄熱する躯体蓄熱暖房などによってCO2削減に効果があります」となる。建物基礎と地面との間で縁を切る免震工法でもある。
EPS t=200mmを敷き込み、隙間に船底のキール状梁型をつくる

水曜日, 6月 22, 2016

週間ブロック通信6月20日号

業界紙・週間ブロック通信で毎月連載しているコラム「ブロック住宅の系譜」の最新号です。今回は、設計作業における形の持つ意味を考察している。手始めに特徴的な円形について取り上げた。
文章は、自然と対峙するために人工的な幾何学として円形を用いた、しかもブロックでというところで終わった。なぜ円形なのか?という批評的な論考まではたどり着いていない。宿題です。

木曜日, 5月 26, 2016

混構造は建築のパッチワーク

コンクリートブロックで建築を設計して30年になる。北海道の大地に大量に埋蔵されている火山灰を原料としてセメントで固めたのがコンクリートブロック。実に北海道らしさの漂う建築材料である。いわゆる地場産品であるから、かつては全道各地に生産拠点があった。人力で1枚1枚積み上げる職人の弁当分のカロリー消費で済み、現場で廃材を生むこともなく、仮に使い残しや端切れが出ても砕いて新規のブロックに再生することができる。自然石のように蓄熱が期待できるので外断熱の躯体には適している。ブロック目地の内側に縦横に鉄筋補強を入れると大きな耐震性を得ることができる。木造と組み合わせる混構造は、それぞれの素材をお互いに引き立てあう。デザインもパッチワークのような面白さがある。
この住宅は、そうした混構造のひとつである。2004年に竣工し、12年後の2016年新しく撮影した。
パッチワークのような正面外観~1階コンクリートブロック造+2,3階木造
1階コンクリートブロック造内観~壁はコンクリートブロック素地
2階木造内観~壁はカラマツ構造合板素地

土曜日, 4月 23, 2016

親方の把手(handle of boss)

把手に鉄を使おうや、と言ったのは大工の親方であった。面白い、と私は思った。ただ言われた通り造ればよいのが大工の役割ではない。私はどのような場面であっても作り手としての矜持がなければならないと思っていた。そして、手に持っていた図面の裏に、親方の言う把手のスケッチを描いて見せた。そんな感じだ!親方の顔が笑顔ではじけた。私のデザインイメージと親方のそれが一致した。それから数週間後、把手の詳細が描かれた玄関引戸承認図が送られてきた。製作は隣町の鉄工場で作るという。もちろん鉄そのままの黒皮仕上げに異論はなかった。まだ小学生の頃、親方はこのニシン番屋でやん集と呼ばれた漁夫たちに遊んでもらった記憶があるという。今から60年以上前のことだ。復原された玄関引戸は、格子状の猿棒面枠に半紙版のガラス板をはめこんだものだ。把手は、親方の太い指がしっかり引掛かるサイズに機能的に作られた。親方の把手、である。(積丹町美国ヤマシメ福井番屋~2016年3月末日修復工事竣工)

木曜日, 4月 21, 2016

コンクリートブロックでつくるもの

コンクリートブロック造住宅の設計や建設現場に関わっていると、構造体だけではなく家具などより人体に触れる部分をブロックでつくることが出来たらいいなと考えることがある。例えば、木造住宅で、くまなく木材で仕上げるのと同じこと。さらに、丸太を輪切りにした手作りスツールなどが並べてあるのを発見した時など、住人の愛着を感じ思わず微笑んでしまう。そこはコンクリートブロック造住宅も同じである。均質無垢な素材感は、地中海の白い漆喰で固められた島々の街のように魅力的な風景を想起させるばかりでなく、住人参加や持続可能な維持管理など、いわば住宅の本質さえ問うのである。
今回、二つの例からコンクリートブロック素材の持つ家具的要素の可能性を探ってみたい。
第一例は、地中海に近いスペインの小さな集落・モンフェリ―に建てられた教会堂の屋外ベンチである。時として私たちは、ちょうどよい高さの植込みや噴水の端、そして階段へベンチのように座り込む。モンフェリー教会堂の屋外ベンチは、前庭を取り囲む手摺のように設置され、台地状になった敷地にそそり立つ教会堂に礼拝者を迎えている。地中海に近いとはいえ、冬は寒い。村人たちは太陽で暖められたコンクリートブロック製ベンチに座って体を暖めるのだろう。ブロックの背もたれは人体に合う角度に考えられている。ブロックの教会堂にはブロックのベンチがよく似合うのである。
次に、薪ストーブの遮熱壁にコンクリートブロックを用いた例である。近くに木製障子の引戸があるため、耐熱効果が期待できる壁を求められた。薪の火が消えても遮熱壁の蓄熱効果が働きほんのり暖かい。
その他、テーブル、照明器具、本棚、等々ブロックの家具的利用範囲は住宅のあらゆる場面に広がる。いわば、コンクリートブロックは日常的で身近な素材なのであるが、その話は別の機会に譲りたい。
スペインカタロニアのモンフェリー教会堂のベンチ
薪ストーブの遮熱壁(北海道札幌市)

金曜日, 3月 18, 2016

室工大建築設立50周年その2

室工大建築学科は、1966年に1期生を迎えた。私が1970年に入学するのと入れ替わりに初めての卒業生を世に送り出したのだ。1970年といえば、世の中はまだ騒然とした雰囲気が残っており、室工大にも1年遅れで学園紛争の最後の波が打ち寄せていた。
しかし新入生の私たちは、授業やキャンパス内でこれといった不都合を感じることはなかった。
あったのかも知れないが遠巻きに眺めていた。私は、大学で建築を学びたいという気持ちが優先していた普通の1年生だったから。そうした私の気持ちを、「都市住宅」等の建築雑誌は時代の雰囲気と共に受け止めてくれていたように思う。いわく、「個と全体」「集住体」「個室群」「保存」「サーベイ」などなど。建築雑誌ではなく「美術手帳」で連載された「建築の解体」には痛快さを感じた。
「アンアン」「ノンノ」や「平凡パンチ」「朝日ジャーナル」といった雑誌にも時代の雰囲気が色濃く漂っていた。ともあれ、1970年4月、私の学生生活は波乱なくスタートしたのである。
ナイトミュージアム、国立西洋美術館。2016年3月。

木曜日, 3月 17, 2016

室工大建築創立50周年その1

本年4月で、私の出身校である室蘭工業大学の建築工学科が創立50周年となります。その記念行事が、3月19日に大学で行われます。卒業生が数人パネラーとなり、私もその一人として学生時代の思い出話をさせていただくことになりました。私は、ちょうど今頃、4年の卒業の直前に東京を中心におこなった卒業旅行のことを話したいと思っています。
卒業旅行では、1974年3月、1年先輩が当時所属していた早稲田大学吉阪研究室を訪問しました。たまたま先週、建築資料館で開催されていた「吉阪隆正展」を観た時、40数年前のことを想いだしたというわけです。

水曜日, 3月 16, 2016

ENZO MARI の主題によるベンチ

バス停のある札幌市内のコンビニ店前に、ENZO MARIの主題によるベンチを製作して半年がたった。木がいい色に焼けてきている。鉄釘は錆を出してしっかりと木に刺さっている。店主に聴くと、よく利用されているという。私の興味は、デザインがどう人の行動に作用するのかということ。見るからに素人が作った木材素地のベンチが、街中にポンと置かれている。バスを待つ間、どうぞ使ってくださいというのである。一台のベンチがこの場所を公共空間にしている、その痛々しさが新鮮ですらある。