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木曜日, 10月 12, 2006

冬の備え

10月、北海道では今月末に初雪が降る。だから、そろそろ住宅も身支度をはじめる。冬の備えの季節である。かれこれ10数年前に設計した、新琴似の2世帯住宅で建物周りのチェックを依頼された。設計者の目で点検し、冬に向けて具合の悪いところがあれば修繕計画を立てて欲しいと言う趣旨である。実は昨年、駐車スペースを増築したばかりであった。一年ぶりに訪れ、なつかしく歓談した。今回の場合のように、定期的にメンテナンスすることは、住宅を長持ちさせる秘訣かもしれない。

土曜日, 10月 07, 2006

時間分母


40年来の高校時代からの友人H君は、万年幹事として仲間内で知られている。彼の音頭とりで、喜寿になった恩師S先生を囲んでのクラス会があった。最近は、子供の話や孫の話もそこそこに、昔の記憶を遡る話題がもっぱらである。当然の事ながら、記憶は一人ひとり違っていてそのギャップがおもしろい。ただ共通しているのは、加齢とともにまるで加速度がついているように時間が早く過ぎることである。これは友人からの受け売りなのだが、年齢を分母とすると一年の重みは加齢とともに小さくなる。つまりはだんだん一年が早く過ぎてしまうと言うことだ。限りある時間を大切に、そう思ったクラス会であった。もちろん万年幹事のH君と参集したクラスメートに感謝である。写真は、先日上京した折の上野・芸大美術館前の風景。

木曜日, 10月 05, 2006

選ばれてこそ建築家(my architect)


10月3日夜、東京にいた。例の第13回空間デザイン・コンペティション作品部門入賞の授賞式に出席するためである。私がいただいたのは佳作賞ではあるが、ともあれ数百点の応募から選ばれたことは幸運だ。めったにないことなので、先月再会したばかりの旧友と再び祝杯をあげた。もちろん蕎麦屋にきまっている。今回は恵比寿のいまどきの店。4日朝、授賞式会場近く皇居半蔵門あたりを散歩中、目の前を雅子妃の車列が通り過ぎる。一瞬目が会ったように思ったのだが少々酒気帯びである私の錯覚だろう。授賞式後、いつか見たいと思っていた小金井公園内にある前川國男邸を見に行く。質素なつくりだが強い。個室に立てかけてある前川さんのポートレートを拝む。授賞式スピーチで数々の建築家を見てきた元新建築編集長の馬場さんが「選ばれてこそ建築家だ」と言ったのを思い出す。

月曜日, 10月 02, 2006

竣工引渡し(completion)


先月末、「藤野の家」と「美しが丘の家」が同時に竣工した。竣工への手順は、施工者による自主検査と設計事務所の完了検査によるダメ出しと補修等があり、前後して確認検査機関の完了検査が終わってようやく施主へ引き渡される。お施主さまへの引渡し当日は、施工担当者全員が集合した。個別の取り扱い説明などを数時間にわたり入念におこなった。やっと人が住む器になったという実感があるが、器の真価が問われるのは実はこれからだ。手が離れ、引き渡したという安堵感と同時に緊張感がみなぎる一瞬である。 写真は「美しが丘の家」正面外観。

月曜日, 9月 25, 2006

ASJ建築展


昨今、建築家を紹介する仕組みがブームになっているらしい。この連休に、札幌コンベンションセンターでのASJ建築展に私も初めて参加した。土日ということもあり来場者が絶えなかった。急遽参加した私は、手持ちの作品の写真と模型をならべ、説明した。初対面の人にいきなり住宅の話をするのは結構難しいが、私はだからこういう形に設計しましたという理由をしゃべることにした。なんだか言い訳しているみたいで自分自身がこっけいに思えてきたが、お客様は熱心に聞き耳を立てている。そして質問があり、会話が始まった。会場には幼児連れのお客様のために遊び場が用意されており、主宰者の気配りがある。

金曜日, 9月 22, 2006

お元気ですか?(How are you?)

非常勤で通っている北星学園大学で、空間コミュニケーション論の後期講義が始まった。非常勤講師室では外人講師のネイティブ英語が飛び交っている。というのも、心理・応用コミュニケーション学科の授業の一環で、私は文学部に属しているからだ。話の中身はいわゆる建築計画だ。文学部における建築の講義はかれこれ4年目を迎える。このごろ思うのは、建築は多重な意味で語れる対象だということ。建築は奥行きが深く建築は生活の中にあり、建築は私たちにとって身近な存在だということだ。授業が終わってから施工中の「美しが丘の家」の現場にいく。只今仕上げ段階だ。写真は2階木造部の内観。壁は珪藻土紙壁紙。床天井はカラマツ材。ところで、23日(土)、24日(日)の両日札幌コンベンションセンターにて住宅展があり、私も参加することになっている。興味のある方は、是非お越しください。

月曜日, 9月 18, 2006

屋根は単純がいい(roof ,simple is best)


「藤野の家」の現場では今日から外部足場解体が始まる。屋根に上って、最後の確認をした。屋根に覆いかぶさるように、隣地のオニグルミの大木が迫っている。屋根に落ちていた実や葉や枝を集めたら、片手では持ちきれないほどになった。もしも屋根にドレインがあったら、配管詰まりの原因になっている。シンプルな片流れ屋根でよかったと思った。

水曜日, 9月 13, 2006

ガラスブロック(glass block)


昨日、吉報があった。第十三回空間デザインコンペで佳作入賞の知らせである。実は、あまり期待していなかった。「チタンコンテナ」の1階子供室とホールを区切るガラスブロック壁が応募の対象。子供が自立し巣立った後の、しかし盆正月には帰省するそのためだけの部屋。壁は、人がいてもいなくても温もりのあるしっかりした素材でつくりたかった。透光不可視のガラスブロックは不在感を表現する最適の素材と思った。入選通知書には、東京芸大の六角教授が審査委員長で、厳正な審査の結果入賞したとある。正直嬉しい。来月、東京で表彰式があり、今から楽しみにしている。

日曜日, 9月 10, 2006

大森のそば屋


8日と9日、東京出張であった。とはいっても仕事ではなく、大学の同窓会のために上京した。その折、地元では有名だという大森の更科で旧友と昼食をとった。期待どおりの美味さであった。店の客がそばを食べている姿が絵になっている。北海道はそばの産地ということもあり、味では負けていないが、この店の雰囲気にはとうていかなわない。
この地に大森貝塚を発見したのは、エドワード・S・モースだが、彼が後年勤めたピーボディ博物館は米国マサチューセッツ州セーラムという町にある。マサチューセッツ州は北海道に縁のある場所。著書「日本のすまい」によれば、研究熱心なモースは、明治期に北海道へ足をのばしているという。ますます北海道と縁がある。ほろ酔い気分も手伝い勝手な連想でひととき時間を忘れた。この場所をセッティングしてくれた旧友に感謝である。

日曜日, 9月 03, 2006

ダウンライト(downlight)


数年前、米国東部のプリマス開拓村で、独立前の米国がまだ貧しかった頃の再現住宅を見学した。床は土間で、柱を等間隔に掘立てにした上に小屋を組んだプリミティブな住宅であった。室内は箱ベッドと小さなテーブルと椅子が数脚置かれているのを記憶している。昼でも薄暗い室内で、ガラスの入っていない小さな窓から陽光が差し込んでいた。ここからは想像なのだが、夜になってロウソクと暖炉の明かりがつくる雰囲気は開拓者の心意気を包み込むのに十分な力を持っていたのだろう。照明の原点を見る思いがしたものである。以来、照明に少しでも気持ちを込められないだろうかと考えている。写真は、天井に埋め込む現場製作のダウンライト。熱がこもりやすいので、ワット数の少ない蛍光灯電球を使用する。素朴な味わいが好きだ。日曜大工で明日の打合せのためのサンプルを自作した。

金曜日, 9月 01, 2006

屋根(roof)


藤野の家の現場に行く。屋根が出来、構造体が完成し、外部建具も入った。その間、筋交いや柱梁の接合部金物チェック、断熱材仕様の確認、さらに先日は公庫融資のための確認検査機関による中間検査も済ませた。現在、内部の造作が進行中である。隣地の林から、屋根を眺めてみた。最近試みている白いガルバリウム鋼板による片流れ屋根である。

火曜日, 8月 29, 2006

メディア(media)


27日の日曜日、札幌マラソンを沿道から観戦した。話題は、なんといっても千葉真子のラストランである。実は、昨年も同じ場所で観ている。今年はパパラッチ風の中継バイクが、ペースメーカーの男達に囲まれた彼女に併走し、力走する姿を写している。腕に「ありがとう」と書いてあることは家を出る前にテレビで見て知っていた。テレビを見ていなかったら気づかなかったかも知れないと思いながら、一団が走り過ぎていくのを目で追った。
帰り道、本屋に寄って定期購読している建築雑誌数冊を受け取り、午後の数時間は自宅庭のベンチに腰掛けて読んだ。いろいろな建築と初めて出会う瞬間だ。更に深い建築の理解へとつながるような気がする、雑誌メディアの力だ。

土曜日, 8月 26, 2006

現場再開



お盆休みが終わり、現場再始動してからしばらく経った。施工現場では、時間が余ることがない。いままでは、表面仕上げに隠れ施工中でしか見ることのできない構造材や断熱材などの重要な部分を丁寧に施工し、それを私は現場確認してきた。これからは、最終的に目に触れる仕上げ施工の段階に入ってきた。どのように仕上がるのか、施主はもちろん、建築家は言うに及ばず、施工会社は目の色をかえ、これからは誰もが楽しみにしている。写真は、「美しが丘の家」と「藤野の家」。

金曜日, 8月 18, 2006

ホームセンター


お盆の休みにホームセンターに行った。普段の設計活動の中で、製品カタログを見てもいまいち実感がつかめない場合がある。そんな時、ショールームなど実物を確認できる場所が便利だ。建築資材が豊富に揃っているホームセンターは、寸法や重量を実感できるだけではなく値段を把握できるのが嬉しい。私などは、店内をあちこちただぶらぶらしているだけで幸せな気分になってくるから不思議だ。例えば、1枚980円の合板をカットしてもらうと50円、指定場所まで運んでもらうと更に50円かかるという。材料費+加工費+運搬費=見積単価となっており、誰にも理解しやすい。そのせいではないけれど、明らかにプロの職人さんの買い物姿をよく見かける。帰りがけのレジで、非常勤で通っている大学の学生に声を掛けられた。ここのアルバイト店員だという。なるほど、勉強になる場所なのだ。

金曜日, 8月 11, 2006

根太なしフロアー


「藤野の家」で建方が進行中だ。木造軸組みの接合部に金物を効果的に使用するのと並行して、構造耐力向上を目指しこの現場では床下地に24mm厚の構造用合板を使用している。そのために、通常303mmから455mm間隔で入れる根太が省略されている。これは施工の省力化に役立っているようだ。現場に着いて、大工さんと目が会う。開口一番に「床張りが楽だね」と言われたのだ。

木曜日, 8月 10, 2006

コンクリートブロック そのⅡ(concrete blockⅡ)


「美しが丘の家」現場で外壁のブロック積み作業が進行している。内壁を積んで以来、しばらくぶりでブロック積み職人さんの姿があった。ブロック積み作業を眺めながら、熟練の技と言うのは手際の良さにあるのだと感じた。一つひとつの工程を確実に、丁寧にやり切る。自信にあふれた手さばき、そして身のこなしが、流れるようなある種の速ささえ感じさせる。隣の建築現場で作業をしていた大工さんが手を休め、感心した表情で眺めている。プロをうならせる職人技なのである。

月曜日, 8月 07, 2006

木製サッシ(wood sash)


断熱気密性が高く、独特な存在感がある木製サッシを窓に使用することが多い。国産品は広葉樹が使用できる点や短い納期、メンテナンスのよさなどに、また輸入品は割安な価格に特長がある。ただし、北欧製のものは彼らの夏休みまでに発注をしないと納期が大幅にずれ込むことがあり、同じ北国同士としてこの季節の大切さを十二分に理解しつつも、待ってはくれない現場との間で苦労をしている。写真は、「美しが丘の家」の2階に取付けられた木製サッシ。3重の、いわゆるトリプルガラスである。

水曜日, 8月 02, 2006

プレカット(precut)


柱や梁の仕口をあらかじめ加工し、現場での作業を簡略化する。プレカット工場では、ほとんどの工程が機械化されているが、工期と予算の都合により今回は手作業で取り組んでいる。写真は、「藤野の家」の構造用木材の一部。北海道産の松材がほとんどを占めている。今日は、工場の一画にある加工場で、作業をしている顔見知りの大工さんを交え打合せをおこなった。

火曜日, 8月 01, 2006

藤野の家(house in Fujino)


札幌市の南区藤野に木造2階建て住宅の現場が始まっている。施主は、南面をうっそうとした樹木で囲われた敷地に惚れ込んでいる。プランの要点は、2階に居間など主な生活の場を南面への開放感とともに作ること、1階に2台分の駐車スペースを組み込むことである。私にとっては久しぶりの公庫利用物件であり、仕様書とにらめっこしながら設計した。構造は在来工法とし、ツーバイ材による片流れ屋根と組み合わせ、シンプルな構成を目指している。