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金曜日, 10月 23, 2026

千歳のエコハウス2008-2026


千歳のエコハウス2008-2026

建物を主役に語ると、工事完了後クライアントの承認を得て、ようやく竣工引渡しされる。そこで設計者のほとんどの実務は終わるのだが、同時に当の建物はクライアントとともに最初の一日を始めるのである。設計者の私はというと、竣工後の年次点検(一般的に1~2年間)の後は建物との接触機会が少なくなる。クライアントへ送るグリーティングカードとしての年賀状が建物をうかがい知る唯一のコミュニケーション手段になってしまう。

先日、メンテナンス担当の設備会社からの連絡で久しぶりに建物とクライアントに再会。実に年次点検以来で、懐かしくも心躍るようなそして少し心配も入り混じる訪問になった。

「千歳のエコハウス」は、2008年に竣工した3階建て補強コンクリートブロック造外断熱工法住宅である。木製トリプルサッシを備え、300mmスラブとコンクリートブロック壁の躯体蓄熱を最大限に生かす床暖房設備。太陽光パネル発電で空気熱源ヒートポンプを稼働させ、給湯暖房をまかなっている。2003年新体制NEDOの補助金も追い風となりドイツ・S社の最新機器を導入した堂々たるエコ仕様。ところが昨年、17年目にして熱交換装置が故障し現在はバックアップ電熱器が稼働している。電力消費が過大で、部品交換したいが生産終了品のためできない。熱源を灯油やガスに変更する案も検討したが、それでは後味が悪い。そもそも設計時クライアントとともに掲げた旗を降ろすわけにはいかない。自前の電気を使い余剰分は電力会社へ提供し地球環境への貢献を願いクライアントに引渡した建物なのだ。幸い手頃な価格の国内メーカー製ヒートポンプ機器で代替することとなり、一件落着。

「千歳のエコハウス」はこれからもその名誉ある名前のまま、太陽光発電+空気熱源ヒートポンプ床暖房・給湯=エコハウスとして、建ち続けることになるのである。(山之内裕一/山之内建築研究所)