パンデミックの影響により変化する日常、その中で顕在化する様々な事柄に向かい合う日々でした。北海道を拠点とする建築家として最近考えていることを載せています。
金曜日, 12月 31, 2021
土曜日, 12月 18, 2021
月曜日, 11月 22, 2021
成果のリサイクル
週刊ブロック通信・令和3年11月22日号に、ブロック住宅の系譜のコラムが載った。
今年、日本建築学会構造分野での発表を経験して感じたことがある。コンクリートブロックという古くからあり、かつては建築家が必ずと言っていいほど使用した工法素材が、現在ほとんど顧みられない。研究や施工そして設計の各分野において、それぞれの分野を横断的に見ていくならば発掘すべき成果が埋もれているように感じている。過去の膨大な成果の中から古くて新しい成果が見つけられるかも知れない。ほんの少しの新規性が見つけられることを期待したい。私自身も、そうした視点で過去の設計事例を見直してみたいと思っている。金曜日, 10月 22, 2021
庭づくり3年と人新世
水曜日, 10月 20, 2021
フィンランドからのサッシ
ピヒラウインドウという名のサッシです。断熱性能の良い木製サッシです。特徴は、内開きで室内から開閉や清掃などのメンテナンスが可能です。LOW-Eペアガラスを内部に、外部はアルミ枠のシングルガラスで、間にブラインドが納まっている。内外サッシとブラインドが同時に内開きする。ブラインドは、外部アルミサッシがシングルガラスのため日射遮蔽効果が高い。
良いことずくめなのですが、今年に限ってはパンデミックのあおりを受け納期が約半年かかった。とはいえ、クライアントに待ってよかったと言わせたほどの優れものです。
火曜日, 10月 05, 2021
ハイサイドライトの平屋(週刊ブロック通信9月)
週刊ブロック通信9月のコラムは「ハイサイドライトの平屋」です。住宅中心に自然光を取込むため高所に設けた窓をハイサイドライトと言います。自然光は高所から取り込むほど光の量が多く、室内を明るく照らし出すことができます。ハイサイドライトの第一番の役目です。
窓から取り入れるのは明るさだけではありません、熱も大量に取り込みます。太陽熱ダイレクトゲインは、温熱計画のスタートになります。そうして取込む熱エネルギーを熱容量の大きいコンクリートブロックに蓄え、穏やかな室内環境をつくるのがこのハイサイドライトのもう一つの役目です。週刊ブロック通信のWEBサイトもご覧ください。
https://block-tsushin.co.jp/concrete_news/genre/block_house
土曜日, 8月 28, 2021
週刊ブロック通信8月23日号
月一のコラムです。今年から週刊ブロック通信がWEBサイトで公開されています。私のこのブログは新しい伝え方を考える時期になっている。
ともあれ「8月23日号」は「集まり部屋」で書いた。集まり部屋とは、蒸暑地域であれば屋外になる場所や行為が室内に取り込まれてしまう、厳しい気候風土で形成された北海道独自の住様式の中心になる場所のことだ。今回紹介の住宅では、玄関、物干し場が取込まれています。
木曜日, 5月 27, 2021
住宅の庭づくり
週刊ブロック通信5月24日号に掲載のコラム「住宅の庭づくり」です。今回は、庭が主役で背景に住宅があります。そもそも建築の外観は何かの背景で、特に街歩きの他者にとっては単なる目印。知らない街を巡り歩くときなどは、街の背景として建築を私たちは意識している。
今回の住宅の庭づくりは、庭から周囲の住宅景観をどう眺めるのかあるいは眺めないようにするのかといった、庭からの眺めづくりだった。一番大切な背景は自身の住宅になる。
月曜日, 5月 17, 2021
素材研究:コルテン鋼
板厚4.5mmのコルテン鋼板を手に取ってみている。コルテン鋼は、表面の錆が内部のサビの進行を防ぐ耐候性鋼。内部はどのようになっているのか?グラインダー掛けをしてみたところ、なんとピカピカの地金が現れた。いろいろ使いたいと思わせる魅力ある素材だ、と私は思う。
月曜日, 5月 03, 2021
15本のバラと1軒のレゴの家
金曜日, 4月 30, 2021
庭工事
「 美しが丘の家」で庭工事が始まっている。住宅の南東角を庭に充てた配置であるから、日射取得を有効にするため適度な高さに樹木は抑えておかなければならない。15年前から個の庭を手掛けてくれている政村庭園(政村さん)が手を入れてくれた。道路に伸びた枝と隣家に伸びた枝を伐採した。もっとおおらかであってほしいと思うのだが緑は他者にとり時として迷惑になることもある。近所の乗馬クラブの馬の様子が見える、そんな環境だ。そして木製ルーバー塀も年月を経てちょうどよく風化を受け入れてすっかり貫禄が出てきた。良い感じ。
水曜日, 4月 21, 2021
ウッドショックはブロックが救う?
火曜日, 3月 23, 2021
CO2でコンクリートをつくる
日曜日, 3月 07, 2021
庭と山(遠景と近景)
現在は眺めるだけの風景になった感がある手稲山そして事務所の中庭を同時に見ている。 太陽光によりさまざまに変化する雪景色は好きなのだが暖かい春が待ち遠しい。手稲山頂は西で庭は南にあり自然の光の演出を楽しむことができる。
手稲山頂が事務所の高窓から見える庭が事務所の地窓から見える土曜日, 3月 06, 2021
蒸暑地域のブロック住宅提案2
ダブルサークルハウスの構造躯体は一番内側にあって、最初の円状壁をつくる。微視的に見ると円ではなく多角形なのだがツルツルのガラス曲面とは異なったザラザラな質感を微妙に出来るブロック積の影がつくる。天井はコンクリート打放のスラブ、床はスレート自然石材。風通しはここでの主眼、大開口引戸から曲面壁を伝って取り込む涼風をイメージしている。
土曜日, 2月 27, 2021
蒸暑地域のブロック住宅提案
2月25日午後、コンクリートブロック造の可能性を考えるシンポジウムが日本建築学会、北海道建築技術協会、全国コンクリートブロック工業会、三団体の共催で開催された。「組積造は世界的に広く活用されている工法だが、特に開発途上国では甚大な地震被害を被ってきている。一方、日本では、補強コンクリートブロック造が、戦後、廉価な耐火性、耐震性の構造として広く活用され、災害に対する強靭性を実証してきた。こうした中、ブロックが広範に使われているフィリピンを対象にして、…中略…日本の補強コンクリートブロック造を紹介、普及するプロジェクトが進められている。」(シンポジウム趣旨説明より)私は、「寒冷地における快適な生活の実現ー寒地のCB造住宅と蒸暑地域に適した設計の試み」と題して、15分間発表した。
1.北海道の文脈によるブロックの歴史、2.北海道の寒地住宅の特徴、3.新解釈のブロック造の提案、4.蒸暑地域に適した設計提案の順にお話しした。1.では1970年代から90年代にかけて世界的にブロック造建築がドライブした歴史があり、北海道も例外ではなかった。そのためブロックには愛着や郷愁すら覚えるのである。2.では寒さと闘うブロック住宅が室内に半戸外的な要素を取込み独自のシンプルコンパクトな住様式を成立させ、さらに家族のコミュニケーション時間の増大を獲得した。3.では私共の設計活動30数年間におけるコンクリートブロック住宅から特徴的な2例を紹介した。4.では二重積ブロック工法の外壁を再解釈し、内側の構造躯体と外側の自由なファサードに2分解したダブルサークルを提案した。外側は、ウインドキャッチャーとなる開口率30%の花ブロックを想定している。これは、オンラインで結んでいた沖縄の建築家に好評であった。内側は、北海道建築技術協会で考案中の木造モジュールブロックを想定する。
沖縄の花ブロックは是非使用してみたい。そのような想いで作ったパース。
(ダブルサークルハウス・2021 設計/山之内裕一 パース製作/田名部伸紀)金曜日, 2月 12, 2021
月曜日, 2月 08, 2021
コンクリートブロックのシンポジウム
木曜日, 2月 04, 2021
北海道民の愛着・コンクリートブロック
北海道の人はコンクリートブロックへの愛着がありますね。先日、コンクリートブロックのオンライン会議で本州の参加者から言われた。なるほどそうかも知れない。どうしてなのだろう?と考えて、ふと思い出した一冊。1975年2月発行のニコンシステムガイドつまりカタログで当時札幌にあったソヤマ写真館でカメラ購入時に頂戴したもの。今、執筆者を見ると写真誌。それほど詳しくない私でも、土門拳、細江英公、奈良原一高、立木義浩、そして篠山紀信はわかる。北海道の南を移動している時に道端で見かけた廃屋を撮ったものだと説明があった。北海道には胸を打つコンクリートブロック風景が身近にある、いやあったのだということをこの一枚が証明している。このカタログには北海道の風景が他にもたくさん載っている。永久保存版。
水曜日, 2月 03, 2021
江別の平屋2
「江別の平屋2」建設、中間レポートです。昨年完成の「江別の平屋1」同様、補強コンクリートブロック造、一部木造の住宅です。居間集中の北海道型平面を新解釈した平面を持ち、居間中央にハイサイドライトからの光を有効に取り込む特徴的な断面をつくっている。
火曜日, 1月 05, 2021
資料集めの横道で、マティスに出会う
現在、とある教会堂を設計している。設計というのは、いろいろ地道な作業が必要で、設計する建物に関連した資料を集める地味な作業もその一つだ。しかしgoogle検索で瞬時に様々な情報を集められる現在は、パソコンに向かう意思さえあればそれほど退屈な時間ではない。それどころか興味をそそられ、つい横道にそれてしまう情報に出会うこともある。
昨年、教会堂の画像検索をしていて、白い壁にカラフルなステンドグラスのある小さな教会堂が目に留まった。アンリ・マティスの設計したロザリオ教会堂だった。私が初めてマティスの絵を意識したのは、池田満寿夫が「美の王国の入り口で」の文中でMOMA所蔵の「ダンス」に感動した、という文章を読んだ時だった。いつか本物をと思ってはいたが、十数年前NYに行くことができた時は当の美術館が増築工事中で入ることすらできなかった。今年、国立新美術館でマティス展が予定されているという。そこにはロザリオ教会堂の展示もあるという。コロナ禍が収束していたら是非観たいものだ。その前に、この一冊を読んでおこう。