ホームページの更新をしていて、以前の仕事を振り返ることがあった。そもそも建築は、サインや家具などいろいろな要素を組み合わせて成り立っている。公共性が高くなればなるほどそうした要素は増えていくものだ。私が独立する前後、彫刻家・丸山隆(1954〜2002)さんとの思い出がある。最初は、札幌市中央図書館のアトリウムに設置するオブジェでの出会いだった。当時勤務していた設計事務所の設計担当者だった私は、図書館と埋蔵文化財センターとを動線的に分けるためにアトリウムを象徴的に設けた。オットーワグナーのウィーン郵便貯金局とジェームズ・スターリングのレスター工科大学のガラス屋根、そして内井昭蔵さんの世田谷美術館のガラス天井が当時の私の頭に去来していた。できるだけ自然光を取り込み、それも直接光ではなく天空光の状態で拡散された影のできない場が結果的にできた。そこに、椅子ともサインともいえそうな巨大な彫刻を置いてくれたのが丸山隆さんだった。
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札幌市中央図書館アトリウム:撮影/並木博夫氏、写真提供/札幌市芸術の森美術館
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