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火曜日, 10月 31, 2006

彫刻が街にある(sculpture in the city)


このところ、建築学会北海道支部作品発表会、JIA住宅部会建築家カタログ、JIA優秀建築選2006、そしてBASE4ホームページなどのプレゼンテーションのために時間を割かれている。年賀状の写真もそろそろだろう。それらに、指定サイズのプリント写真やポジのデュープを使う必要があり、大通公園近くの専門写真店に何度か通った。今日はその帰り道、イサムノグチさんのブラックスライドマントラに立ち寄った。夏の暑い盛りであれば無邪気に遊ぶ子供たちの歓声が聞こえるのだが、寒く太陽も顔を隠している今日は誰もいない。それにしても、街に彫刻があると言うのはそれだけで心が暖かくなるものだ。

月曜日, 10月 23, 2006

想像力

「地下鉄に乗って」という映画を観た。浅田次郎の原作で、過去へタイムスリップする物語だ。主人公が地下鉄のホームで出会うかつての恩師の存在感が目に焼きついていた。キャストの中に、田中泯の名前を見つけた。あの舞踏家の泯さんである。30年ほど前、竹山実さんの札幌アトリエインディゴで、舞踏を観た鮮烈な記憶がよみがえった。局所を包帯でぐるぐる巻きにしただけのほとんど全裸で踊るという、それまで見たこともない前衛舞踏であった。その数日後、たしか市民会館でのワークショップで再会した。偶然、トイレで隣り合わせになり言葉を交わした他愛もない記憶。私の頭の中もタイムスリップしてきた。小説や映画や建築、人間の想像力ほど興味深く、感動を呼ぶものはない。

土曜日, 10月 21, 2006

札幌デザイナーズウィーク(sdw)


NPO法人北海道デザインネットワークと北海道新聞社が主催し、JIA(日本建築家協会)北海道支部などが協力、北海道や札幌市や地元放送局などが後援する、デザイン運動週間が始まっている。私たちの事務所は昨年に引き続き2度目の参加。具体的には、JIA住宅部会のパネル展参加と小冊子への広告掲載である。また、受付スタッフとして半日会場に張り付く。こうしたイベントで久しぶりの顔を発見したり、初対面の人との出会いもまた楽しみである。写真は、リノベーション(再生)をテーマとしたJIA展示風景。手前に私たちの事務所の出展パネルがある。

水曜日, 10月 18, 2006

ザ.チェアーⅡ(the chairⅡ)


事務所で15年使っている事務椅子が、とうとう悲鳴を上げた。座面がすり切れたのだ。先月の上京の折、六本木アクシスビルにあるこのメーカーのショールームでファブリックを注文し、札幌に戻ってから椅子を宅急便で茨城県にある工場へ送りだした。その椅子が真新しい座面をつけて、17日に事務所に戻ってきた。体になじんでいるものだから、まだまだ使えるのがうれしい。早速、メーカーの担当者に到着と喜びそして感謝を、メールした。 写真は、ウィルクハーンFSライン、1980年代の傑作事務椅子といわれている。我が事務所の宝もの。

金曜日, 10月 13, 2006

SS式地盤調査


朝一番に、来春着工予定「西宮の沢の家」の地盤調査に立ち会う。いつものスウェーデン式サウンディング試験による地盤調査である。すでに近隣の地盤調査資料により、ある程度の目安は得ているものの、いまだかつて建築物が建った歴史がない場所であるから、念のために調査をしなければならない。写真は、自動回転式の装置である。従来の手回しによる方法に比較して作業は楽そうであるが、この方法の特徴であった「じゃりじゃり音がしましたから礫混じりの砂層です」というような、検査者の手や耳に伝わる振動や音からの経験分析が期待できそうもない。しかし、仕事の効率化や作業の均質化は当然でもあり、これから数値的な正確性を期待すればよいのだろうと思っている。

木曜日, 10月 12, 2006

冬の備え

10月、北海道では今月末に初雪が降る。だから、そろそろ住宅も身支度をはじめる。冬の備えの季節である。かれこれ10数年前に設計した、新琴似の2世帯住宅で建物周りのチェックを依頼された。設計者の目で点検し、冬に向けて具合の悪いところがあれば修繕計画を立てて欲しいと言う趣旨である。実は昨年、駐車スペースを増築したばかりであった。一年ぶりに訪れ、なつかしく歓談した。今回の場合のように、定期的にメンテナンスすることは、住宅を長持ちさせる秘訣かもしれない。

土曜日, 10月 07, 2006

時間分母


40年来の高校時代からの友人H君は、万年幹事として仲間内で知られている。彼の音頭とりで、喜寿になった恩師S先生を囲んでのクラス会があった。最近は、子供の話や孫の話もそこそこに、昔の記憶を遡る話題がもっぱらである。当然の事ながら、記憶は一人ひとり違っていてそのギャップがおもしろい。ただ共通しているのは、加齢とともにまるで加速度がついているように時間が早く過ぎることである。これは友人からの受け売りなのだが、年齢を分母とすると一年の重みは加齢とともに小さくなる。つまりはだんだん一年が早く過ぎてしまうと言うことだ。限りある時間を大切に、そう思ったクラス会であった。もちろん万年幹事のH君と参集したクラスメートに感謝である。写真は、先日上京した折の上野・芸大美術館前の風景。

木曜日, 10月 05, 2006

選ばれてこそ建築家(my architect)


10月3日夜、東京にいた。例の第13回空間デザイン・コンペティション作品部門入賞の授賞式に出席するためである。私がいただいたのは佳作賞ではあるが、ともあれ数百点の応募から選ばれたことは幸運だ。めったにないことなので、先月再会したばかりの旧友と再び祝杯をあげた。もちろん蕎麦屋にきまっている。今回は恵比寿のいまどきの店。4日朝、授賞式会場近く皇居半蔵門あたりを散歩中、目の前を雅子妃の車列が通り過ぎる。一瞬目が会ったように思ったのだが少々酒気帯びである私の錯覚だろう。授賞式後、いつか見たいと思っていた小金井公園内にある前川國男邸を見に行く。質素なつくりだが強い。個室に立てかけてある前川さんのポートレートを拝む。授賞式スピーチで数々の建築家を見てきた元新建築編集長の馬場さんが「選ばれてこそ建築家だ」と言ったのを思い出す。

月曜日, 10月 02, 2006

竣工引渡し(completion)


先月末、「藤野の家」と「美しが丘の家」が同時に竣工した。竣工への手順は、施工者による自主検査と設計事務所の完了検査によるダメ出しと補修等があり、前後して確認検査機関の完了検査が終わってようやく施主へ引き渡される。お施主さまへの引渡し当日は、施工担当者全員が集合した。個別の取り扱い説明などを数時間にわたり入念におこなった。やっと人が住む器になったという実感があるが、器の真価が問われるのは実はこれからだ。手が離れ、引き渡したという安堵感と同時に緊張感がみなぎる一瞬である。 写真は「美しが丘の家」正面外観。