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土曜日, 5月 31, 2008

札幌軟石


北海道の素材として頭に浮かぶものに、札幌軟石がある。落ち着いた色調の砂岩で、かつては木骨石造倉庫の外壁素材として使われてきた。写真は、きょうの天神山緑地の遊歩道の舗石。楔形に切りそろえて地面の微妙な凹凸に対応させている。変化があって面白いデザインの使いかただ。

金曜日, 5月 30, 2008

小樽(otaru)


昨日、施工者も決まり、昨年から関わっている小樽公園通教会の改修工事がいよいよ始まることになった。たびたび部分改修を受けながら80年余の歳月を経てきた木造建築だ。
ここに2階会堂に掲げられている一枚の写真がある。教会創建時に牧師として赴任していたフランク・ケーリ氏。建築設計者は、当時の小樽市技師・成田幸一郎だが、米国マサチューセッツ州生まれのケーリ牧師に大きな影響を受けているのは想像に難くない。
外観や内部の建築意匠に、はるか遠くから運ばれてきた地域と歴史の断片を感じ、すこし壮大な気分になる。

水曜日, 5月 28, 2008

森さんのスケッチ展


修行時代の一年先輩に、現在武庫川女子大学で建築を教えている森幹雄さんがいる。私のパースの先生で、描き方をずいぶん教わった。その彼が神戸の兵庫県立美術館でスケッチ展を開くという。それも村野藤吾さん設計の西館で。「建築の仕事に携わり35年が経ちました。その間に描き続けてきた街並みも今では取壊され、すっかり表情が変わってしまったものも少なくありません。歴史的街並み・近代建築を中心に、約180点のスケッチを展覧いたします。」(案内状から本人の許諾を得て引用)
建築という仕事を通して見続けてきた街並みへの愛情あふれる定点観測といっていい。

そういう私も建築に関わって34年になる。

火曜日, 5月 27, 2008

配筋検査


27日、真駒内東町の家の現場で基礎配筋検査を行なった。
ご主人の趣味の音楽室があり、近隣防音対策として地下室を利用している。床壁天井に遮音仕様を施し、居室に必要な外部窓は「採光のための開口部を設けることを要しない居室」法第28条第1項ただし書きの適用を受けて最小限の排煙窓とした。
オレンジ色パイプは床暖房用で耐圧盤に直接埋設施工する酸素透過防止架橋ポリエチレン管、三菱ユカロンエクセルパイプO2ストップ。内部間仕切の墨を打ち目印をつけて慎重に施工している。

土曜日, 5月 17, 2008

構造体(structure)


小樽市役所旧館は当時役所の建築技術最高職にあった成田幸一郎の設計で昭和8年に竣工している。写真は、その旧館と隣接する新館を結ぶ二つある連絡通路のうちのひとつ。きのうの鉄骨トラスのアーチ構造とは異なって、丁寧にリベット止めした鋼板面材による一体化された構造で、階段さえも構造の一部になっているように見える。内部はどうなっているのだろう。次回、訪れる機会にちょっと覗いてみたい好奇心に駆られている。

木曜日, 5月 15, 2008

歴史遺産(historic heritage)


15日、公園通教会改修打合せのため小樽に向かった。朝刊で本年度の日本建築学会文化賞に小樽の峯山冨美(みねやまふみ)さんが選ばれたことを知る。峯山さんは30年前に小樽運河を守る会の会長をつとめ、運河保存に尽力された人。新聞記事に、大正時代に完成した小樽運河と周辺の石造倉庫群は、北海道の金融・経済の中心として栄えた小樽の往時をしのばせる。中略。歴史的保護を強く訴え、観光地としての再生に貢献した。とある。当時の空気を知るひとりとして嬉しい。
写真は、小樽市役所の新旧庁舎を繋ぐ渡り廊下。ここにも先人の残した遺産を守ろうとする思いがあるようだ。

水曜日, 5月 14, 2008

杭打設(くいだせつ)


14日、「真駒内東町の家」の現場で杭の打設を行なった。設計前の地盤調査によって、建物を安全に保つ支持地盤に到達する長さのRC杭が必要だという結果が出ていた。
建設会社担当者K氏の掛け声のもと、杭メーカーと重機オペレーターの洗練された連携作業で200φ、3メートルのRC杭55本を施工した。打設機械とそれを運搬する赤い重機が頼もしい。

ニセコその3(niseko3)


敷地に一本の樹木や小さな池があればなんともいえない魅力が生まれる。敷地を魅力的にするためには池を掘りすくなくとも木を植えればよく、つまりそれが敷地の設計ともなる。
しかし、なにもないところではこうしたことに気づかない。いつかどこかで見た光景が沈殿してはじめて意識できることなのだと思う。だから、記憶の中の風景をたどり再見することは、ただ思い出にふける以上の意味があるのです。

月曜日, 5月 12, 2008

ニセコその2(niseko-2)


ニセコは水が豊富でところどころ泉が湧いていた。こうした水辺には昆虫の姿を見つけることができた。ギンヤンマを最後に見たのは30年前のこと。今はどうなっているのだろう。
小さな池の土手に組んだ小枝の間から吐水口の塩化ビニール管が顔を出す。山頂から水が運ばれてくるのだろうか、雲に隠れた羊蹄山がユーモラスな小便小僧のようにみえてくるから面白い。

日曜日, 5月 11, 2008

ニセコ(niseko)


たしかに魅力的な場所だ。変化にとんだ自然がある。山の幸、じつは海の幸もほど近い。冬は厳しいが夏はさわやかだ。高校1年生の夏、宿泊学習で初めてこの自然を知る。3ヌプリ登山、5湖めぐりで汗を流した。冬のニセコは寒すぎてちょっと苦手。その寒さのおかげで例年ゴールデンウィークにスキーができるほどなのだ。
いま、ニセコがブームだという。ブームはいつか過ぎ去ってしまう。ただ、いつのときもこの自然は変わらぬままであってほしい。写真は30年前のニセコ曽我地区。ニセコ大橋付近。

火曜日, 5月 06, 2008

住宅巡礼


道東・帯広で先月26日、「建築家・五十嵐正」建築の外観を見て廻った。地元工務店のT氏の案内で短時間にかの本に紹介されていた5軒の住宅をすべて廻ることができた。最後に訪れた松本邸は、記述によると子供のダンス教室併設の住宅。手前の車は送り迎えの親の車だろうか。
T氏と北海道ホテルのロビーでひと休み。目の前を弦楽伴奏に乗って花嫁とその父親がチャペルへ入ってゆく。こうした行事やダンス教室の玄関先の光景に、ちょっとくすぐったいが上質の文化の香りを感じる。
私のほかにも沢山の巡礼者がいるのだろう。5軒の住宅はいずれも警備会社の標識が貼ってあった。住宅の外観は半公共のものと考える私だが、なんとなく住人の気持ちがわかる。

金曜日, 5月 02, 2008

千歳の家(house in chitose)


きのう5月1日、昨年来計画中だった「千歳の家」の確認申請がおりて着工の準備が出来た。補強コンクリートブロック造3階建て52坪の規模で、外壁は外断熱、開口部は木製サッシ(U値1.34W/m2K)、空気熱源ヒートポンプ(スティーベル製)暖房、ソーラーパネル(シャープ製3.21KW)を装備したエコハウスです。写真は左から南、東、北、西の各立面。
躯体コンクリートブロックは地元のよねざわ工業製、内装床フローリングは道産タモ材を使用する予定。

日曜日, 4月 27, 2008

ラジオ(radio)


26日は、道東の帯広で一日過した。少人数の住宅セミナーをASJ帯広スタジオで行なうのが主目的でしたが、ついでに建築家を紹介するラジオ番組の収録という初めての体験をした。写真は収録を終えてほっとしている山之内と、よく通る美声で話をうまく誘導していただいたFM帯広のパーソナリティー梶山憲章さん。放送予定の5月3日と17日の午前10時半には札幌で77.8MHにチューニングしてラジオに耳を傾けるつもりだと言ったら、可聴域は帯広近郊のみで札幌では聴こえないはずという。すこし残念。

水曜日, 4月 23, 2008

小樽(otaru)


最近小樽に行く機会が多い。暖かい陽気に誘われて桜が咲いた今日も小樽にきていた。街は生きもののように日々その姿を変えている。北海道では比較的古くまた質のよい建築物がまとまって残っている小樽でさえ古きよき街の風景が少なくなっているのを感じる。昼食を兼ねた打合せに向かった「静屋通り」で写真の町家が取り壊されるという、またひとつの風景が消える。

火曜日, 4月 22, 2008

グレイの家(grayish house)


今週末4月25~27日の3日間、東京ビッグサイトで開催される「スタイルハウジングEXPO2008」で札幌の住宅雑誌社リプランの展示スペースに私のパネル「グレイの家」を展示予定です。興味ある方はご覧下さい。同時に10名ほどの北海道の建築家パネルも展示される予定。主催者HPには「ライフスタイルに合ったこだわりの住宅を建てようという住宅購入検討者に向けハウスメーカー・工務店・建築設計事務所など100社以上が出展しデザイン住宅を提案します。」とあります。インターネットで事前登録すると入場料2000円が無料になるようです。

月曜日, 4月 21, 2008

ソーラーパワー復活(solar power)


半年振りに庭に水瓶がよみがえった。太陽光発電による小さな噴水も復活した。札幌は例年になく桜の開花が早いという今年。待ちに待った春が早くきたようだ。それだけで理由なく嬉しい。

月曜日, 4月 14, 2008

木製ベンチの点検


雪が融けてしばらくたった自宅の庭に冬の間しまっておいた木製ベンチを置いた。これから次の冬がくるまでの半年間この場所に出しておくことになる。ベンチとテーブルは3年ほど前に近くのホームセンターで入手した。つくりは本当に簡素なもので最小限の細い部材をビスでとめボルトとナットでつないでいる。だからことしも使い始めは裏返してビスが抜けていないかナットが緩んでいないかを点検しなければならない。これがなかなか楽しい。

日曜日, 4月 13, 2008

東札幌の塔屋(penthouse)


昨日打合せの帰り道で、ミゾレ混じりの灰色の空にポツンとサイコロのような塔屋を見つけた。早速車を路肩に止めてしばらく眺めた。工場か倉庫のエレベーター機械室だろうか、直方体の外壁と規則的に組み込まれた明り取りガラスブロックが、形態を象徴的にしている。律儀にガラスブロックの中心に目地を切っているところもいい。電線に邪魔をされて歩道からはうまく見上げることが出来ないが、この塔屋はこの場所を印象付ける目印として十分な存在だと思う。これも建築の力でしょうか。

火曜日, 4月 08, 2008

地鎮祭


きょう午前中、真駒内東町の家で地鎮祭があった。構造は木造一部RC造、規模は地下1階地上2階建て。およそ130㎡の小住宅。
設計は、階段の蹴上げ寸法180㎜の倍数をもとに天井高さなど全ての断面寸法を決定するところから始まり、最終的に全体を5つのフロアーによる断面構成いわゆるスキップフロアーとした。また、北海道産木材で無垢の自然素材を構造材と仕上材に多く使用する予定。
昨年来準備を進め雪解けを待ちようやくこの日を迎えることができた。こういう日はいつも嬉しい気持ちになるものです。

月曜日, 4月 07, 2008

フロッタージュ


建築専門誌の新建築4月号で真壁智冶氏のなつかしい名前を見つけた。真壁氏は、70年代の初頭「タウ」というアングラ?雑誌で、私たちに都市=街の奥行きや楽しみ方を教えてくれた一人。後年、私は札幌市教育文化会館でのイベントに参加した。彼は、建物の外壁など手当たり次第に画用紙を当てて6B鉛筆でこすりだすフロッタージュ手法を伝授してくれた。私たちが向かった大通り公園近くの老舗デパートの階段室の壁には、大理石が貼られていた。こすりだしながら大理石に小さな化石を発見した。その瞬間、私たちは地球の歴史に思いをはせ、手に触れている石が建築素材の一番上質なものなのだと了解した。

先月末に帯広の街を早朝散策したのは五十嵐正建築の発見と鑑賞が目的ではあったが、通りがかりに偶然目にする街の奥行き感を楽しみたかった。私は、建築のつくり方にこうした街や建築を発見する方法論が生かされることを信じている。

写真は、6B鉛筆と舗装用敷石のフロッタージュ。