Powered By Blogger

金曜日, 2月 09, 2007

幕間(seventh inning stretch)


もうすぐ再開予定の現在冬期休業中の現場がある。いまは、再開に向けての準備に余念がない。私の好きな野球で言えば攻守チェンジの時間、それもアメリカメジャーリーグで言うところのセブンスイニングストレッチの時間であろうか。あの陽気な「私を野球に連れてって」の大合唱が聞こえてくるようだ。この歌は、1908年に初めて発表されたと言う。今年で99年目の超ロングヒットソングとういわけだ。野球狂の女性が、2対2の同点でこれからホームチームの活躍を応援する歌だという。いい建築を作ろうとしてあれこれ思案しているこの季節の私たちに似つかわしい歌ではないだろうか。「私を現場に連れてって」と。

金曜日, 2月 02, 2007

雪だるま(snowman)


半年雪に閉ざされる北海道で、冬の季節をどれだけ有効に過せるか。私たちにとってはとても大切な問題だ。室内をおおきめにする。できるだけワンルームにする。天井も低いより高いほうがいい。自然の採光を大切に。などなど。室内で過す時間の質と量を考えなければならない。もちろん、戸外での楽しみも。写真は、隣家のご主人がお孫さんのために毎年作る雪だるま。なかなか表情豊かだ。雪を運ぶ北風が吹く北西方向を誇らしげにながめている。

木曜日, 2月 01, 2007

凍土


2月、今日から新しい現場が始まった。敷地は札幌市の隣、石狩市の花川。200ミリほど凍り付いている表土を砕いて、基礎工事をしている。この時期、厳冬期に着工することが決まっていたために敷地の雪を取り除いていた。表土が直に冷気に接している状態が続いていたのだ。その結果、土の表面を凍らせてしまった。雪に適度な断熱効果があることは経験的によく知られていることで、皮肉にも自然に雪が堆積している場所の土は凍結していないという。

水曜日, 1月 17, 2007

耐用年数


20年前に取り付けた自宅の樹脂製レバーハンドルが折れた。頻繁に使用するトイレの片開き扉に取り付けられていたもので、きっと何かの拍子で異常な力がかかったのだろう。このタイプのハンドルはデザインが気に入りそして廉価だという理由で採用した記憶がある。当時工事を担当してくれた建具屋さんからは、すぐに壊れるからよしたほうがいいよと言われた。その一言がずっと頭に残っていて、いつ壊れてもおかしくはないといつも自分自身に言い聞かせて使用していた。同じものを希望した施主に対しても、建具屋さんからの受け売りで、これは壊れやすいそうですよと私は説明した。そう言われると、きっと丁寧に扱う気持ちが芽生えてくるのかもしれない。幸いこれまで一度もトラブルはなかった。20年というと、1日の使用頻度を15回として、約10万回以上の使用に耐えたことになる。ご苦労サンといっていいだろう。ちなみに、現在の設計には、壊れにくい金属製のものを使用している。念のため。(写真右)

火曜日, 1月 09, 2007

等身大スケールⅡ


昨日は成人の日の祝日。事務所に使用している建物が、年末にちょうど20年を過ぎた。人間で言えばめでたく成人である。建物全体は共同住宅で、詳細はjt(住宅特集1986年12月号 、SHINKOTONI HOUSING)に掲載されているのだが、その一部を事務所として使用している。
ところで、事務所のボールト天井には天井高さを示す目印をつけてあり、高さを実感するスケールとなっている。たびたび打合せ時に活用し、また毎日の設計時の確認用としても重宝している。私の場合、手を伸ばすとちょうど2150mmの位置に届く。したがって手を伸ばせば、どこでも天井高さをほぼ把握できる。
さて、コンクリートの表面は20年間全く変化していない。それは外断熱工法の利点と言うものだろう。今年は、少しまとめて外断熱(鉄筋コンクリート造等)をこの欄で取り上げる予定である。

金曜日, 1月 05, 2007

等身大スケール


今日から仕事始めです。
JICAでアラビア半島のイエメンに行っている知人にメールする。その知人の案内で砂漠の摩天楼シバームを一度見てみたいと思っていたが、近々帰国が決まっている。せめてもと、グーグルアースの航空写真を見てみるも感じがつかめない。以前お世話になったボストンの宿屋の女将に航空便を出す。葉書は70円切手一枚で届く。今年は、松坂効果を期待していることだろう。ミラノに短期留学中の施主へ出したメールは読んでもらっただろうか。などなど考えながら、地球上の距離感やスケール感が頭の中でどんどん変化していくのを感じているのは私だけではないだろう。しかし、である。私たちが取り組むべき建築は、身近な目の前に等身大にあるの。今年も、ひとつひとつの仕事に真正面から取り組んで、満足のいく建築をつくりたいと思う。
写真は、昨年末にJIA北海道支部から発行された「建築家カタログ~北の住まいを建築家とつくろうVol.3」。北海道で仕事をしている私たちの建築家仲間が載っている。

木曜日, 1月 04, 2007

水まわり(sanitary)


あけましておめでとうございます。仕事始めは明日からだが、きょうはこれから始まる仕事の準備という意味もあり、衛生機器会社の企業誌を10数年分積み上げ、浴室やトイレなど「水まわり」関連資料を一日中ゆっくりと拾い読みした。一度は読んでいるはずなのにすっかり忘れている。だから初めて読むときのように面白い。「忘れる」と言うのもなかなか味なものだ。
建築家・前川國男邸の水まわりはいわゆる3in1、その新しさに驚いたが、これは昨年見学した。建築家・土浦亀城邸の真っ白いタイル張りの白い陶磁器に包まれた空間にモダニズムデザインの本質があり、また実用的な意味だけではなく精神的な意味でも清潔感がキーワードだと藤森照信氏が言う。コルビュジェのサヴォア邸の水まわりは光が満ちていて美しい、正月のテレビ番組でチラッと観た。
「水まわり」は住宅だけではない。現在、あるオフィスビルの環境改善策としてトイレの改修を計画中。限られた予算で満足を追及することになる。いま「水まわり」は、あらためて住宅のもっとも大切な部分でもあることを再確認している。
我輩はネコ(写真は自宅で飼っている雄ネコ)、いや建築家である。今年もこの目でしっかりと建築の仕事の周辺を伝えていきたいと思っています。

木曜日, 12月 28, 2006

越年準備


上屋を架けてコンクリート打設した「大谷地の森の家」の壁の型枠をはずし、地下部分の一部を埋め戻した。スラブは土台のアンカーを突き出したブルーシートで表面を覆い、雨や雪から躯体を保護している。この状態で、1ヶ月ほどさらに養生期間を置く。ここからは、すっかり葉が落ちて見通しが良くなった森が見える。すばらしい景色にしばらく見とれてしまう。カラスの鳴き声だけが響いている。竣工時の1階居間からの風景予想ができた。

水曜日, 12月 27, 2006

師走の雨


27日、この時期には珍しく一日中雨が降っている。道路の轍(わだち)は、氷の谷間に水がたまり、次に寒波がくると路面が危険な状態になりそうだ。午後から、対向車に注意しながら、9月に引き渡した「美しが丘の家」のアフター工事の確認に向かった。懸案事項は全て完了していた。施主さんから、「とても快適」という一言をいただく。ひと安心である。写真は、屋根の雨水を勢いよく落とすステンレスアングル製の樋。

木曜日, 12月 21, 2006

上屋(うわや)


「大谷地の森の家」で1階床スラブの配筋検査を行なった。土曜日のコンクリート打設に備えて、最悪の天候を予測して降雪保護のシート上屋と採暖の準備をし、当日は万全の態勢で臨む。

非常勤

今日、札幌市厚別区にある北星学園大学で今年最後の講義をした。1コマ90分、毎週1コマ、延べ14週で1260分の授業を、私は非常勤で通っている。この間、プレゼンテーションに用いたパワーポイントの容量を見てみたら、208MBだった。これが多いのか少ないのかはわからないが、1枚のスライドは500KB程度の画像が主だから、400枚以上のスライドを写したことになる。毎度、その一枚一枚にコメントを入れた。今日の授業では、後半30分、一人ひとりの名前と顔を確認しながら質問や感想を聞いた。私の講義テーマは「空間コミュニケーション」だが、今年内容は建築空間の紹介に終始している。それは、基本となる空間をまず理解してもらおうと考えたからだ。途中、全員で建築の小模型制作も実施した。今あらためて思っている。建築空間は体で捉えるもので、建築空間は風土や構造や環境や社会を反映しているものだと。

月曜日, 12月 18, 2006

DIY


住宅は、住み手が使い込むもの。日々の暮らしに必要な手間をかけなければならないもの。やってみるとこれがなかなか楽しいものだ。昨日午後、庭への出入り口に雪止め柵を手作りした。例年は、スタイロフォーム100ミリ厚の板をガラス面に立て掛けて済ましていたのだが、庭からの景色が悪いので、思い立って日曜大工を試みた。まだ、塗装仕上げが残っているものの満足している。私のささやかなDo it yourself である。

土曜日, 12月 16, 2006

仕事


昔読んだ本に、「仕事とは他の誰かに代わって行なう代理行為であり、そのために施主と社会への責任感が育まれ、そのための技術や倫理の研鑽が要求される。」と言う意味のことが書いてあった。いまでも正論だと思う。私が参加しているJIA(日本建築家協会)の北海道支部住宅部会では、毎月のように何がしかの例会を開いて、職能集団としての研鑽に励んでいる。昨日、忘年会を兼ねて今年最後の例会があった。今年の、住宅賞の受賞者のレビューをメインに互いの意見を交換した。気がつくと予定の時間はあっという間に過ぎていた。私も、今年一番感動した映画「マイアーキテクト」について勝手気ままに作り込んだスライドを披露した。そのなかで私は、設計と監理のプロつまりは建築家の仕事の中身は、広く深く困難であると同時にとても楽しいものでもあることを表現したかった。写真は、私が32年前に訪れたバングラデシュの建築現場。この時、カーンの建築に初めて出会った。

木曜日, 12月 14, 2006

鉄筋組み立て


時には一晩で数十センチも積雪があるこの時期、「大谷地の森の家」現場では天候が回復した合間を縫うようにシート養生をしながら作業が進められる。積雪は、ここ数日の暖気で消えた。現在、地下車庫部分の鉄筋組み立て作業が進められている。偶然この日は、現場で施主のH氏と出会う。天気が良いので現場を見に来たという。工事の進捗状況に大変満足の様子で、完成が今から楽しみだと言う。来週の定例打合せ日程を再確認して現場を後にした。

月曜日, 12月 11, 2006

美術館Ⅱ


先々週12月1日、建築学会北海道支部の作品発表会があった。私自身は、年一作限定で発表し始めて今年で16年目になる。いつも、その年の設計の最高のものを見せたいと、また誰にもわかりやすく伝えようと思っている。会場の北海道立近代美術館は、故太田實先生の代表作。私が独立して間もない頃、太田先生に私の自宅と当時建築中のブロック住宅を見ていただいたことがある。「ライトみたいだね」と茶目っ気たっぷりに仰った。思ってもみなかった一言であり、それから私はフランクロイドライトのブロック住宅を書物でよく見るようになった。写真の今回発表した「白い陸屋根の家」は、ライトのブロック住宅のひとつがプランのヒントになっているものだ。

美術館


9日土曜日、午後から「モダン建築の夢」展を見た。三岸好太郎美術館はもう何年来のご無沙汰だった。展示は、山脇巌が設計した三岸好太郎のアトリエを基点として、そこからバウハウスや同時代の日本の建築家たちを俯瞰する、図面と模型と写真資料で構成する見ごたえのあるものであった。特に興味を持ったのは、土浦亀城自邸だった。70年代、「都市住宅」で磯崎新さんとの対談記事を読んだ時から気になっていた。キッチンの黄色の戸棚など、色彩が鮮やかだ。磯崎新さんも影響を受けたのだろうなと勝手な想像をした。その他にも、藤井厚二の聴竹居は、隅々まで神経が行き届いている建築家の集中力の凄さを感じた。そして石本喜久治自邸。石本喜久治没後10年、私が石本事務所に勤め始めた。年かさの先輩から話を聞いてはいたものの写真を見るのは不覚にも今回が初めてだった。

火曜日, 12月 05, 2006

庭球場


地下鉄の幌平橋駅近くで、久しぶりにBASE4のメンバーとビジネスランチを食べた。すぐそばにテニスクラブがある。ここは、その昔、職場の先輩に誘われて初めてテニスをした場所。現在はどうかわからないが、かのウィンブルドンも顔負けの厳格なクラブで、身につけるものは白いもの意外はだめという規律があった。私のテニスの腕前のほうは昔も今も進歩なしだが、懐かしい。雪に覆われたコートに球音が聞こえてくるようだ。テニスコートと緑と雪、絶妙な取り合わせが面白い。

金曜日, 12月 01, 2006

杭(くい)


先日、「大谷地の森の家」で、杭工事が行なわれた。さっと雪が地面を覆っていたが、翌日にはすっかり融けてしまう。これからは空模様をにらみながら工事工程が組まれることになる。初冬、この時期の雪は工事の背中を押すように降るのである。

木曜日, 11月 30, 2006

室蘭


週の初めの2日間、室蘭にいた。ASJイベントニ参加のためであった。写真は、私の展示風景。室蘭は私にとって幼少時代の大半と、青春時代の全てを過した街として忘れることはできない。40年~30年前のこの街は活気にあふれていたように思う。製鉄所の巨大煙突から噴出す煙で、街中が鉄錆色に染まっていた。そのセピア色の風景を誰もが自慢げにしていたように記憶している。今、この街の風景は自然の色を取り戻しているように思う。社会が大車輪で突っ走っているときには誰もブレーキを踏まないものだ。今、たとえシャッター街と揶揄されようと、この街は夢から覚めて自身を見つめる時間を獲ているのだ、とぼんやり考えた。

水曜日, 11月 22, 2006

電飾


週一で通っている北星学園大学の講義が終わって外に出ると、まだ4時過ぎだというのに真っ暗だ。さきほどふりだした雪が風に舞っている。人影のないキャンパスで樹木がクリスマスツリーの電飾をまとって浮かび上がる。思いがけなく出会った美しい光景に、立ち止まった。北国の冬はこれがあるからやめられない。一瞬寒さを忘れる。