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土曜日, 2月 27, 2021

蒸暑地域のブロック住宅提案

 2月25日午後、コンクリートブロック造の可能性を考えるシンポジウムが日本建築学会、北海道建築技術協会、全国コンクリートブロック工業会、三団体の共催で開催された。「組積造は世界的に広く活用されている工法だが、特に開発途上国では甚大な地震被害を被ってきている。一方、日本では、補強コンクリートブロック造が、戦後、廉価な耐火性、耐震性の構造として広く活用され、災害に対する強靭性を実証してきた。こうした中、ブロックが広範に使われているフィリピンを対象にして、…中略…日本の補強コンクリートブロック造を紹介、普及するプロジェクトが進められている。」(シンポジウム趣旨説明より)私は、「寒冷地における快適な生活の実現ー寒地のCB造住宅と蒸暑地域に適した設計の試み」と題して、15分間発表した。

1.北海道の文脈によるブロックの歴史、2.北海道の寒地住宅の特徴、3.新解釈のブロック造の提案、4.蒸暑地域に適した設計提案の順にお話しした。1.では1970年代から90年代にかけて世界的にブロック造建築がドライブした歴史があり、北海道も例外ではなかった。そのためブロックには愛着や郷愁すら覚えるのである。2.では寒さと闘うブロック住宅が室内に半戸外的な要素を取込み独自のシンプルコンパクトな住様式を成立させ、さらに家族のコミュニケーション時間の増大を獲得した。3.では私共の設計活動30数年間におけるコンクリートブロック住宅から特徴的な2例を紹介した。4.では二重積ブロック工法の外壁を再解釈し、内側の構造躯体と外側の自由なファサードに2分解したダブルサークルを提案した。外側は、ウインドキャッチャーとなる開口率30%の花ブロックを想定している。これは、オンラインで結んでいた沖縄の建築家に好評であった。内側は、北海道建築技術協会で考案中の木造モジュールブロックを想定する。

沖縄の花ブロックは是非使用してみたい。そのような想いで作ったパース。

(ダブルサークルハウス・2021  設計/山之内裕一  パース製作/田名部伸紀)


2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

拝啓 お世話になります。

コメントのメールを差し上げます。

蒸暑地域のフィリピンに対して、適合可能なコンクリートブロック住宅を提案されておりますが、酷暑・酷寒地域用のコンクリートブロック住宅が必要であり、東京-大阪-福岡の太平洋ベルト地帯にも適合すると考えます。 これらの地の7・8・9月は、高温多湿の亜熱帯気候で昨年(令和4年)の夏は、東南アジアと同じくらいの酷暑でした。 そして12・1・2月は、北海道の11月に相当する亜寒帯気候です。

これは、こちらの家の構造から来るものです。 住宅地に建てられている住居は、在来木造、ツバイフォー、輸入住宅、軽量鉄骨プレハブ、鉄筋コンクリートと百花繚乱の狂い咲きです。 私の住む庭木のある比較的落ち着いた木造主体の住宅地も、宅地2分割で駐車場2台の庭木のないタイニーハウスの現れる悲しい現実です。 立替においては、建売主体で断熱材もまともに成されていないので、寒暖への対応は冷暖用エアコンとガス・電気のストーブの設備となっております。 これでは夏季は、まだ蒸し暑く扇風機が、冬季もまた寒く炬燵なども補助的に使用されます。 

こちらの春・秋の6ヶ月は、快適といえますが、夏・冬はその住環境から、暑さを耐え寒さを我慢している状況です。

今年(令和6年)の能登の震災と2011年の東北大震災での、木造住宅などの崩壊を見ると脆弱性を強く感じさせられます。 警告されている南海トラフなどの地震、毎年来襲する台風、都市火災の本州でも、内外装に木材を用いているコンクリートブロックの、耐震・耐寒・耐火・対候性のある『カストマイズできる家』のような質素で堅実な家が、一つの解になると思います。

ただ、木造を主に考える潜在的ユーザーに、コンクリートブロックのそろった目地の美しさやCBの積層作りが、理解されず忌避される事を避けるため室蘭工大の鎌田元教授が、住宅評論で推奨する居間・和室への珪藻土の一部使用が、解決案となると思います。 北海道では、宗谷地区で特に良質の珪藻土が産出し、その活用が待たれております。

なお、こちらの狭小な宅地の制約から2階建の住宅が必要となり、その住宅は、1FのCB+2Fの三角木造屋根の混構造、または2階建てCBキュービック構造となると思います。 高温多湿の条件から珪藻土の塗り壁で、対湿性向上と適正なエアコン設備が必要と考えます。

以上のことを、専門家に対して僭越ながら、当地の住宅の一端を知って頂きたく申し上げます。 当方、北海道を出て50年あまりの元会社員で、東京-大阪-福岡を転勤しながら、現在は東京多摩地区の、築30年の木造2階建て住宅(延べ面積約120㎡)に、年間ガス・電気の光熱費が約40万円(平均3.3万円/月)で、先にのべた設備の家に、年長の子供2人・妻の4人家族で暮らしております。 単純に考えて50~60年の耐用年数で土地代ぬきであれば、光熱費だけでも新築できると思ってしまいます。

本文は、貴提唱のCB造りの2階建ての建築を夢想しながら、北海道に郷愁を覚えつつ書いております。 今後、北海道で再びCB建築の住宅が、再復活するため今後のご活躍の祈願と同時に、失礼のお詫び申し上げます。

敬具

ある北海道出身者/東京都多摩地区在住

yuichi YAMANOUCHI さんのコメント...

前略 コメントメールありがとうございます。大変詳細かつ実体験に裏打ちされた説得力に富むお話しを伺い、心強く思いました。ご指摘のように、かつてはCB造王国であった北海道ですが、近年はほとんど新築CB造を見ることが無くなりました。しかし、鎌田先生も蓄熱性があるCB造を木造に取り込みたいと考えておられるようです。CB造は組積造の一種で強度型の構造体です。東北大震災では津波に耐えたCB造住宅がありました。またコンクリートブロックメーカーは全国各地にありますので、それぞれの地域の風土に合致したCB造住宅の設計ができます。私も尽力したいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。  2024/06/30 山之内 裕一