私は1970年に大学に入り、1974年に卒業した。私は、まさに雑誌・都市住宅こそ広い建築の世界を見せてくれたメディアであったと思う。このことは、同時期に建築を学んだ多くの建築家が一様に同じ感想を持っていることからもうかがい知ることができる。建築家・渡辺真理さんの文章(INAXREPORT・NO.170 再読「都市住宅」)を読んだ時に確信した。私も彼と同学年だからだ。
コールハースのPROJECTJAPAN(2012)やメタボリズムの未来都市展(森美術館2011~12)、2014年ベネチアビエンナーレ日本館展示、そして2015年の誰も知らない建築の話など、戦後とりわけ1970年代の建築がこのところ引き合いに出される印象がある。何がそこで起きていたのかを問う。
今でこそ、フランクゲーリ―のように建築がメディアそのものとして解釈されることは珍しくない。1970年代、雑誌・都市住宅はそのものが特別な建築メディアだった。だれにも分かりやすいテーマに絞りながら鋭く、中身が深く解像度がとにかく高い。
前出のINAXREPORT・NO.170で、植田実さんはまた「建築家は鮮烈でなければ」と言い放って、あの頃はよかった…と想い出話で終わらせてしまいそうな私たちを牽制している。今回の講演会が、鮮烈な建築家を生み出すひとつの契機になればと思う。
1970年代後半、消費文化を牽引したPARCO…私にとって、ああ原点と呼べるのは「都市住宅」 |
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