2月25日午後、コンクリートブロック造の可能性を考えるシンポジウムが日本建築学会、北海道建築技術協会、全国コンクリートブロック工業会、三団体の共催で開催された。「組積造は世界的に広く活用されている工法だが、特に開発途上国では甚大な地震被害を被ってきている。一方、日本では、補強コンクリートブロック造が、戦後、廉価な耐火性、耐震性の構造として広く活用され、災害に対する強靭性を実証してきた。こうした中、ブロックが広範に使われているフィリピンを対象にして、…中略…日本の補強コンクリートブロック造を紹介、普及するプロジェクトが進められている。」(シンポジウム趣旨説明より)私は、「寒冷地における快適な生活の実現ー寒地のCB造住宅と蒸暑地域に適した設計の試み」と題して、15分間発表した。
1.北海道の文脈によるブロックの歴史、2.北海道の寒地住宅の特徴、3.新解釈のブロック造の提案、4.蒸暑地域に適した設計提案の順にお話しした。1.では1970年代から90年代にかけて世界的にブロック造建築がドライブした歴史があり、北海道も例外ではなかった。そのためブロックには愛着や郷愁すら覚えるのである。2.では寒さと闘うブロック住宅が室内に半戸外的な要素を取込み独自のシンプルコンパクトな住様式を成立させ、さらに家族のコミュニケーション時間の増大を獲得した。3.では私共の設計活動30数年間におけるコンクリートブロック住宅から特徴的な2例を紹介した。4.では二重積ブロック工法の外壁を再解釈し、内側の構造躯体と外側の自由なファサードに2分解したダブルサークルを提案した。外側は、ウインドキャッチャーとなる開口率30%の花ブロックを想定している。これは、オンラインで結んでいた沖縄の建築家に好評であった。内側は、北海道建築技術協会で考案中の木造モジュールブロックを想定する。
沖縄の花ブロックは是非使用してみたい。そのような想いで作ったパース。
(ダブルサークルハウス・2021 設計/山之内裕一 パース製作/田名部伸紀)