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火曜日, 5月 13, 2014

アートは基礎が命

長沼でアトリエMOMOの設計を完成させたころ、丸山隆さんが長沼町内に設置する彫刻を制作することになった。巨大な南アメリカ産の花崗岩をもちいて、大地に座標軸を描くようなイメージの遊具のような彫刻だった。子供たちが平均台のように彫刻の上を歩き回ることを思い描いた作品だ。したがってしっかりと地面に固定されていなければならない。ある日、石の巨大な彫刻をどう支えたらいいのだろうかという相談を受け、私の事務所で基礎の構造設計をしましょうということになった。そうして、出来上がったのが「触知座標」だった。
美しい彫刻をしっかりと地面の下で支えるのも私たちの仕事。
丸山隆「触知座標」1994年  長沼町コミュニティ公園内(夕張郡長沼町)
撮影/並木博夫氏 写真提供/札幌市芸術の森美術館

水曜日, 5月 07, 2014

長沼のアトリエ

2階打ち合わせ室は、軽量鉄骨下地の露出仕上げ。
丸山隆さんからアトリエ設計の相談をいただいたのは、私が独立してまもなくの頃だった。当初は、農業用のプレハブを考えているのだけれどどうだろう?というような話だった。少し調べてみると、確認申請も通らない構造的にすこぶる不安なものだと分かったので、農業用のプレハブの利用はダメですねと言うとそれでは設計してほしいということになった。地名が長沼である。見渡す限りまわりは水田地帯、地盤が良いはずがない。相当長さの杭を打って、基礎をつくった。2mほどの高さに柱と梁を架け、屋根はボールトにして、妻面から採光を取る。壁と屋根の境に偏光ガラスブロック一列に並べささやかなチャレンジもした。施工業者の協力もあり、なんとか農業用のプレハブの予算内で収まった。奇跡だとおもった。
外観
内部:赤いらせん階段は、丸山さんの自作。


金曜日, 5月 02, 2014

以前の仕事から

ホームページの更新をしていて、以前の仕事を振り返ることがあった。そもそも建築は、サインや家具などいろいろな要素を組み合わせて成り立っている。公共性が高くなればなるほどそうした要素は増えていくものだ。私が独立する前後、彫刻家・丸山隆(1954〜2002)さんとの思い出がある。最初は、札幌市中央図書館のアトリウムに設置するオブジェでの出会いだった。当時勤務していた設計事務所の設計担当者だった私は、図書館と埋蔵文化財センターとを動線的に分けるためにアトリウムを象徴的に設けた。オットーワグナーのウィーン郵便貯金局とジェームズ・スターリングのレスター工科大学のガラス屋根、そして内井昭蔵さんの世田谷美術館のガラス天井が当時の私の頭に去来していた。できるだけ自然光を取り込み、それも直接光ではなく天空光の状態で拡散された影のできない場が結果的にできた。そこに、椅子ともサインともいえそうな巨大な彫刻を置いてくれたのが丸山隆さんだった。
札幌市中央図書館アトリウム:撮影/並木博夫氏、写真提供/札幌市芸術の森美術館